めまいに困っているのに、医師に伝えても疲れでしょうとか、言われてしまって。原因も良く説明してくれないし。めまいについて知っておきたいことをお話しします。
医師のほとんどがめまい患者の診察が苦手な理由
医師のほとんどの方はめまいの患者さんを診察することが苦手もしくは嫌いです。めまいが原因を断定することが難しく、診療しにくいためです。
なぜでしょうか。めまいの一言は非常に曖昧で、多くの症状が含まれているからです。『眼が痛い』と同じ感覚で『めまいがする』と患者さんは言います。しかし明らかにめまい一言に多彩な症状、更にうまく伝わりづらい内容を含まれています。
体がフラフラする、目の前が回る、目の前が真っ暗になる、まっすぐ歩けない、頭がモヤモヤする、ボーとする、クラっとする、頭が重い感じがする、立てない、気持ち悪い、ちょっとよろけたなどその他の症状も眩暈には人によっては含まれるかもしれません。
眼が痛いは痛さに程度の差があっても痛いのだと他の人が共感して想像することができると思います。
めまいは細かく症状を分析、分類しないと他者と同じ感覚を共有しづらいものなのです。
正確に言うと、めまいとは、自分や周囲が動いていないのに動いているように感じる異常な感覚のことになります。からだのバランスを保つ機能に障害が起こると発生するものです。
頭がボーとするとか、気持ち悪いということは含まれません。バランスを保てないことが引き金となって、2次的に気持ち悪さの症状がでるのです。
体のバランスを保つ部分は、主に3つ(視覚、平衡感覚、体性感覚)
さて体のバランスを保つ機能はどこにあるのでしょうか。1つだけではなく、大きく3つあります。
①眼から入る視覚情報、②耳の奥にある三半規管と耳石器を含む前庭からはいる平衡覚情報、③足の裏や体の筋肉から入る体性感覚情報です。眼、耳の奥だけでなく、床が傾いたときの筋肉の張りや力の入り具合などからもバランスの情報を得ています。
これらの3つのセンサーからの情報を脳、特に小脳で処理しています。脳は情報分析して姿勢制御の命令を発する場所になります。脳で体の軸と地表の軸のずれがなくなるように目の向きと姿勢と内臓(自律神経)を制御するのです。
センサーの異常、脳の異常、姿勢制御不良により、体の軸と地表の軸がズレると、自分(体の軸)が動いていないのに周囲(地表の軸)が動いているように感じる、つまり『めまい』となるわけです。
めまいが伴う重大な病気と発症率
皆さんが『めまい』を起こしたときに心配なのは、何か重大な病気が隠れているのではないかということだと思います。
救急、急性期のめまいを起こす原因は、バランスを保つためのセンサーの3か所とそれを統合する小脳を中心とする中枢のいずれかが急に障害を受けた時です。
この中で一番除外しなければならないのは脳卒中です。ただ脳卒中の場合はめまい以外の、体の麻痺や頭痛などの症状が出ます。
実際『めまい』のみの症状で脳卒中であった数は、めまいで救急外来を受診する人の中のわずか2から3%です。
めまいの分類は、原因より、時間軸で考えると分かりやすい。
めまいを分類するときに、原因や病態、病名から考えるより時間軸を考えることがシンプルです。
典型的なめまいは、まず、めまい発作と言われる、突然発症の激しい嘔気嘔吐ともに回転性めまい(目の前がぐるぐる回る)がおこり、立っていることもできない、状態からなります。
家で寝ているもしくは、救急車で病院に行くという対応がされます。これを救急から急性期のめまいといいます。これは数時間で激しい嘔気嘔吐が落ち着きます。
そして亜急性めまいの状態となります。この期間はフワフワ感が1日から2週間ぐらい続きます。
その後は日常生活に全く問題ないものの、急な動きでクラクラ来るとかフワッとする、また大きな眩暈が起きそうと感じて不安で気に病む、慢性期のめまいと言われる状態になります。
救急のめまいで発症し亜急性めまいになり完治し、慢性期のめまいに移行しない場合がほとんどです。
不安が高まったり、亜急性のバランスセンサーの乱れの改善が乏しく、3か月以上フワフワした感じが続くようになってしまえば、慢性めまいの状態に移行してしまったわけです。
まとめ:めまいの一言では医師は理解できません。
うまく説明できなければ、状況を細かく紐解いて聞いてくれる医師を探しましょう。
バランスのセンサーは、耳の奥以外に、目と、足腰の筋肉にもある
めまいだけの症状で、脳の重大な病気である可能性は2%程度と稀
多くのめまい症状は、長くても2週間くらいで消失する
治療については、この時間軸からめまいを分類し、対処方法を具体的に述べた以下の記事を参考に
慢性めまいについてはこの記事で
コメント
コメント一覧 (1件)
痛みや状態を言い表すのは、難しいんですよね〜(;^_^A
「スピーカーのピー」という音。
「蝉の鳴き声」「コオロギの鳴き声」は、イメージしやすいでしょうけど!
趣味を持ている人じゃないと、わからない見えかたの表現、音の表現てありまよね!
「フォギーフィルターがかかったような見えかたをします」
「一眼レフカメラのミラーが跳ね上るような音がします」
「レンズシャッターの音がします」
フイルムカメラが、自動でフイルムを巻き上るときのような音がします」
カメラ、写真を趣味にしている人でないと、イメージできない見えかた、音の表現でしょう。
患者にとって、どう伝えたら良いのか?!悩むところです。