鼻の詰まりについてお話ししたいと思います。その中でも片方の鼻が詰まる場合の原因と治療についてお話しします。あなたが片方の鼻が詰まって苦しい場合、特に寝る前に横になると鼻詰まって寝苦しい場合。このような方は、最後まで読んでくださいね。
どちらかの鼻は詰まっているもの、鼻は右と左交互につまりと通りがよくなることを繰り返す。
まず、初めに皆さんどちらの鼻が通るか確認してみてください。
片方の鼻の穴を親指で塞いで、息を吸ったり、吐いったりしてみましょう。
そのあとすぐに反対鼻の穴をふさいで、再び呼吸をしてみて、左右どちらが息がしやすいか感じましょう。
左右どちらかが通りが良く、どちらかが通りが悪いと思います。同じくらいの人は少ないはずです。
鼻に病気がない人でも、左右で比べてみると呼吸もしやすさには違いがあります。
鼻は自動的に、普段は片方が詰まるようにできています。
しかもこのつまりは右と左を交互に繰り返します。
ネーザルサイクルというシステムで2から3時間で左右の鼻のつまりが変化する
50名の鼻の通りを15分おきに7時間調べた報告があります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibi1954/26/3/26_535/_pdf
36名にネーザルサイクルといわれる定期的な鼻つまりの左右交互の発生が認められました。
平均2.6時間で左右が入れ替わっていました。
皆さん今から2~3時間後に、もう一度両鼻のどちらが通るか、鼻を抑えて呼吸してもらいたいと思います。
多分今と反対側の鼻が通りが悪くなっていることでしょう。
このネーザルサイクルの機序はハッキリと分かっていません。
交感神経や副交感神経からなる自律神経が関与しているということまではわかっています。
息こらえや、激しい運動で鼻とおりが良くなることがあります。これは交感神経がはなのつまりを取っているのです。
鼻つまりを取る薬を片方の鼻に入れると反対側がつまり、鼻を詰まらせる薬を片方の鼻にいれると反対側が通ることも分かっています。
ただし、なぜそうなるかは解明されていません。
いつも両方の鼻が詰まっているのは病気
皆さんが片方の鼻が詰まるとしても、右左交互になるという場合は病気ではないと考えます。
2~3時間おきに調べてみてもいつも同じ側だけ、片方だけ鼻が詰まっているという場合は病気の可能性があります。
もちろんいつも両方つまっているものも病気と考えて差し支えありません。
鼻詰まりの原因は大きく3つです。
一つは鼻の隙間に鼻水が大量にあり、鼻水が邪魔をして鼻がつまる。
二つ目は鼻の粘膜そのものが非常に腫れて膨れて鼻が詰まる。
三つ目は、そもそもの鼻の構造の問題、例えば鼻の中にポリープがあったり、腫瘍があったりした場合です。
一般的に、鼻風邪やアレルギー性鼻炎では鼻水が増えたり、鼻の粘膜が腫れますこのような場合は、必ず両方が鼻が詰まると考えていいです。
決まって同じ側の鼻だけがいつも詰まっているのは、片鼻だけの病気
片方だけ鼻が詰まるのは、鼻の構造の問題と片鼻だけの鼻の病気です。
片鼻だけの鼻の病気で怖いのは、鼻の中のデキモノ、つまりガンや腫瘍です。
鼻の中にもガンができます、副鼻腔ガンと言われるものですが、極めて稀です。出血や腫れ痛みなどがでてきます。
数が多いのは片鼻だけの蓄膿症、つまり副鼻腔炎です。
一般的な蓄膿症は両方の鼻に起こります。片側は少なくおもに2つの原因です。
歯からくる蓄膿症である歯性上顎洞炎と、カビによる蓄膿症である副鼻腔真菌症です。この二つは片側だけに起こる蓄膿症です。
歯性上顎洞炎は上の歯と、鼻の脇にある副鼻腔である上顎洞が繋がっているために起こります。
上の歯の虫歯や歯茎の炎症が、口から鼻の外側の上顎洞に及んで膿が溜まった状態です。
歯が痛くて頬がいたく、その側の鼻が詰まる場合は歯性上顎洞炎を考えてみましょう。
副鼻腔真菌症と言われる鼻の中のカビによる蓄膿症は、健康な成人ではあまり起こりません。
高齢の女性に多く70代が最も多いです。女性2に対して男性1の割合です。
糖尿病の持病があり、感染に対して抵抗力が落ちている方、関節リウマチなどに対し免疫抑制剤を飲んでいる方、ご高齢の方など、抵抗力が落ちている方に起こります。
これらの片方だけの蓄膿症は、鼻つまり以外の症状がでます。
特に多いものは、後鼻漏です。鼻がノドに回ってせきばらいしたくなるという症状です。
片鼻だけに鼻水が多く出ると思います。
鼻水も後鼻漏もないが、片鼻だけが詰まるのは鼻中隔弯曲症です
鼻水もない、健康も悪くない、しかも若い、もう何年も片鼻だけ鼻が詰まっているように感じる。
こういう場合は、鼻中隔弯曲症を考えましょう、片鼻だけが鼻の構造からして狭くなっているということです。
鼻中隔とは、右鼻の穴と左鼻の穴を分けている真ん中にある、ツイタテの事です。
この衝立が左右どちらかに曲がっている状態を鼻中隔弯曲と言います。
鼻中隔が真っすぐであれば、左と右の鼻の隙間自体が50%と50%に分かれます。
弯曲の場合、凸になっている側つまり曲がっている側が30%、逆に曲がってない方、凹部が70%という広さに分かれます。
成人83例をX線写真で調べた研究では、鼻中隔が弯曲していない人はわずかに10人で12%でした。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka1947/64/6/64_6_1105/_pdf/-char/ja
それ以外の人は多少の弯曲を認めていたわけです。
鼻のツイタテである鼻中隔は骨と軟骨から出来ています。
顔面や鼻の形の成長の段階で、成長スピードが軟骨の方が骨より早い為に、鼻中隔がたわんでいくと(弯曲する)言われています。
鼻腔の形態は、15歳時点でほぼ完成すると言われています。
あなたが16歳以上で鼻水や後鼻漏もなく、片鼻だけが常に詰まるのであれば、鼻中隔弯曲症を疑いましょう。
3割の人はどちらかに鼻の中が強く曲がっている
先ほどの研究では、弯曲の度合いが左右の鼻腔の幅が3ミリ以上差がある人は、25例、30.1%でした。
つまり3割の人はどちらかの鼻が強く詰まった状態にあると言えそうです。
元々鼻の構造が狭い人がアレルギー性鼻炎などになった場合は、より片方の鼻が詰まると感じることと思います。
鼻詰まりには血管収縮剤の点鼻薬が最も多く使われます。鼻の粘膜を薬で収縮させて、少しでも鼻の空間を広げるのです。
ただし、これは、鼻中隔の粘膜には効きません。鼻の外側にある鼻甲介という部分に効果があります。
そのため、高度の鼻中隔弯曲症の人に点鼻薬をしても効果は十分ではありません。
15%の人は鼻つまりを治すのに手術が必要となる
これを治すには、手術しかありません。手術で鼻の軟骨や骨の出っ張りを削るのです。
鼻の穴の中から鼻中隔を手術します。鼻のついたてである柱を取っても、鼻の高さや見た目は変わりません。
1週間くらいの入院が必要となる施設が多いです。手術後の圧迫のために両側の鼻にタンポンを入れておく必要があります。
この期間が3から5日間であり、入院が必要となります。
4歳から79歳までの1040名の鼻中隔を調べた研究では、鼻腔の完成した16歳以上779名中121名の15.5%が6ミリ以上の高度の弯曲を認めていました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/orltokyo1958/32/6/32_6_531/_pdf/-char/ja
これらの高度の弯曲がある人は手術をして鼻つまりを改善しても良いかもしれません。
鼻の詰まる側を上にして、横に寝ると詰まりが解消する
手術するほどでないけど、いつの片方が鼻が詰まって気になって眠れないんだという方もいるかもしれません。
このような方へ、鼻の詰まる側を上にして横に寝てみてください。気を付けの手をして、脇を締めて横になりましょう。
脇腹を圧迫すると、交感神経が刺激されて、反対側の鼻の血管が収縮し鼻通りがよくなります。
上側半身の汗も増え圧反射によるメカニズムと研究されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tmh1960/2/1/2_1_5/_pdf/-char/ja
息こらえや運動でも鼻の通りは良くなることがわかっています。足をあっためることも鼻の通りをよくします。
いずれにしても、片鼻のみ詰まる場合は、病院に受診することで改善が期待できますので、一度鼻中隔が曲がっていないか、確認してもらいましょう。
コメント
コメント一覧 (12件)
5歳男児です。最初は鼻くそが固まって鼻が詰まり、親も子もよく眠れなくなり、耳鼻科で副鼻腔炎と診断を受けて通院開始しました。粉薬を飲み、2週間おきに10ヶ月間通っています。今では鼻くそはなくなり鼻の中は綺麗なのですが、鼻が詰まって夜何度も起き、眠れないです。かかりつけの先生には良くなってきていると言われますが、よくわかりません。副鼻腔炎の治療はこんなに期間がかかるのは普通でしょうか?違う病気なのかと心配しています。こんなにも鼻詰まりが治らないので、親子でよく眠れず悩んでいます。詰まるのは夜と夜中だけです。
https://tomita-ent.com/practice/adenoid/
も参考にしてください。
アデノイド肥大で鼻が詰まることがあります。
2ヶ月前に鼻風邪をひき、治ったと思ったら右側の鼻つまりの症状が出るようになりました。鼻水に血も混ざります。アレルギー性鼻炎の薬や点鼻薬をもらったのですがあまり効いている感じがしません。これはがん以外にないのでしょうか?その他の症状はありません。とても怖いです。
21歳男性タバコ吸いません。
年齢的にがんの可能性は極めて低いと思いますが、ご心配でしたら再度受診をお勧めいたします。