今日はいびきの原因とその治し方をお話しします。
お友達と旅行に行って、いびきがうるさくて、眠れなかったと翌朝に言われた。
家族ならまだしも恋人や友達にいびきかいてたよなんて言われたらショックですよね。
自分はイビキはかかないけど、一緒に寝ている旦那さんや奥さんのイビキがうるさくて、寝不足でしょうがない。途中息も止まっているみたいで、もしかして何か悪い病気じゃないかと心配になってしまう。
このような方に是非見ていただきたい内容です。
いびきの原因と誰でも簡単にできるいびきの治し方も紹介します。それを実践すれば、いびきを気にしないで、友達と旅行に行くことができるようになるはずです。一緒に寝ている方にやさしく教えてあげれば、イビキが改善して、自身の寝不足が解消されます。病院に受診した方がよい、危険ないびきか判定する方法もお話ししますので、是非最後までお読みください。
動画で同じ内容をお話ししています。文字が苦手な方はこちらもご覧ください。
イビキをかきやすい人3タイプ
一つ目は太っている人、首が太く短い人です
太っている人は一見空気の通りが良さそうに思われがちです。しかし、太っている人は空気の通り道、つまり気道にも脂肪がついているため、狭くなっているのです。にもかかわらず、太っている体は、より多くの酸素を必要として、たくさん空気を吸い込みます。そのため、気道の抵抗が大きくなりますから、いびきをかきやすくなります。
2つ目は、下顎が小さい人です。顎に対して相対的にベロが大きくなるので、ベロが口の中におさまり切れなくなります。必然的に口があき、口呼吸になり舌の奥が狭くなりイビキが発生します。下顎が小さい人は歯並びや噛み合わせが悪いことが多いので、そういう人もいびきをかきやすいタイプと思ってください。
顎が小さいかどうか自分で判定する方法を紹介します。顎の先端から花のさきっちょを結んだ線と下唇が接するか1ミリくらい隙間が空くくらいが理想です。下の唇が明らかにぶつかる人は、顎が小さいと言えます。
3つ目はノドの奥が狭い人です。口を開けた時のノドの形からイビキをかきやすいタイプかどうかがわかります。鏡の前で口を開けて、喉の形を確認してみてください。のどチンコや喉の奥がベロで隠れて見えない人は、いびきをかきやすいノドが狭い人です。アーと声を出してみてください。のどちんこが太く長い人、その脇の粘膜のヒダが、暖簾のように垂れ下がっている人もいびきをかきやすいといえます。
いびきの2大発生源は、ノドちんこのまわりとベロの根元
空気の通り道が狭い人が、イビキをかきやすいと理解できたと思います。では、実際にどこからイビキの音が出ているのでしょうか。いびきの音源は、主に2箇所です。いびきの7割以上が、のどチンコ周辺の粘膜が振動する音です。軟口蓋といいベロで上あごを触っていくと、奥の方にある柔らかい部分です。食べ物を飲み込んだ時に、食べ物が鼻に回らないための壁の役目をしています。
軟口蓋が振動してイビキがしている人のうち4割の人は、別な場所からもイビキを発生しています。つまり2種類の音源のイビキを奏でているんです。それは、ベロの根元です。口を開けてベロを突き出したときに見えるか見えないかの奥の部分です。外から見ると、下あごと首の境目のこのあたりです。このような音源が2つある方は、イビキの回数が多くうるさかったり、睡眠時無呼吸などの危険ないびきに繋がりやすい人です。
なぜ寝ているときだけ音がするのか
どんなにイビキをかくという人も、普段起きている時の呼吸ではイビキの音は出ません。なぜ眠っている時だけ、ノドちんことベロの根元は、騒音を作り出すのでしょうか。
一つは眠っている時の姿勢です
普段人間は、立ったり座ったりして生活していますが、眠る時は仰向けの姿勢です。すると重力の影響でのどチンコの周りの軟口蓋や、ベロの根元が背中側に沈み込んで、空気の通り道を狭くしてしまうのです。
二つ目は、眠る時のリラックスモードです。人は眠りに入ると全身の筋肉が緩みます。口の中のノドやベロの筋肉も緩み、振動しやすくなります。リラックスしている時は、自律神経の副交感神経が活発になっている状態です。副交感神経が粘膜の血管を広げます。そうすると、鼻の粘膜や喉の粘膜がむくみやすくなるのです。喉の筋肉の緩みと、粘膜のむくみのため、鼻の通りやのどの空気の通り道も狭くなり、粘膜も振動しやすくなります。そのためイビキをかきやすくなるのです。
肥満、口呼吸、老化が3大原因
普段はいびきをかかないけど、時々いびきをかく人もいると思います。お酒を飲んだ時です。お酒を飲んだ時は、より筋肉がリラックスして緩みやすくなります。血管が広がり、顔が赤らむように、ノドの粘膜も腫れやすくなります。そのためイビキをかくのです。
体が疲れた時もいびきをかきやすいです。疲れを取るためにより多くの酸素を体内に取り込もうとするからです。そうすると無意識に口を開けて、鼻でなく口で呼吸します。皆さんが走った直後と同じ感じです。普段鼻呼吸で歩いていても、走った直後は、たくさんの酸素を取り込もうと、ハアハアハと口で呼吸すると思います。
口呼吸のために、口が大きく開くとベロが体の下側奥側に落ち込みます。そのため口の奥の空間が狭くなり、いびきをかきます。鼻風邪やアレルギー性鼻炎、蓄膿症などがあって鼻が詰まっている場合も同じようにいびきをかきます。花粉症の季節だけいびきをかくという方は、鼻詰まりの口呼吸がいびきの原因です。
老化もまたいびきの原因です。若い頃はいびきをかかなかったのに、歳をとってからかくようになったという声をよく聞きます。歳を取るに従って筋力低下が進んで、喉を広げる筋力も低下してしまいます。50歳以上になるといびきが増加することが分かっています。女性では更年期の時期からいびきをかく人がとても多くなります。女性ホルモンが、のどをひろげる筋肉を緊張させる効果があるからです。このホルモンが減ってくると筋肉の緩みが進み、いびきをかきやすくなります。
閉経後の女性は体重が増えやすいのも、ひとつの理由です。肥満はいびきの最大原因です。内臓脂肪は喉の通り道にも沈着します。痩せてる方よりも、喉の通り道が狭くなります。さらに仰向けに寝た時に、アゴしたのお肉が、より重力を受けやすくなり、いびきが大きくなります。
いびきをかかない3つの方法と2つの習慣
それでは、いびきを治すためにはどうすればいいのでしょうか。5つの方法を紹介します。
A:なんと言っても減量です。喉の奥の脂肪が減って、喉の通り道が広くなります。でも、そんな簡単にすぐ体重が減るわけはありません。もっと即効性のある簡単な方法はないのでしょうか?
①それは横に向いて寝ることです。仰向けに寝ると重力によってのどちんことベロの根元が背中側に落ち込みます。横に向いて寝ることで重力が喉の奥の左右の方向に分散するため、いびきが治る人がいます。
抱き枕を使ってみたり、横を向いて背中側にタオルを厚く敷くのも良いでしょう。
大きなリュックサックを背負ってねてみたり、パジャマの背中側にポケットを作って、ゴルフボールやテニスボールを仕込んだりしてみても良いかもしれません。
②口呼吸の人は口にテープを貼ってみるのも良いと思います。口を閉じることで喉の奥が広くなります。ただし、完全に鼻が詰まっている人は逆効果です。口も鼻も詰まってしまっては息が全くできません。鼻詰まりを取る点鼻薬や、鼻の穴を広げるテープを併せて使ってみてください。アレルギー性鼻炎のある人は、いびきを治すために積極的に薬を使いましょう。
③太っていないけど、年齢と共にイビキが始まった方は、喉の筋肉を鍛えてみましょう。舌を動かす体操をしてみたり、喉仏をあげる嚥下体操をしてみてください。
むせをへらし、誤嚥性肺炎の予防にもなりますので、こちらの動画もチェックしてみてください。
B:口呼吸の癖がある人は、普段から舌の位置を意識してみてください。口を閉じた時のベロの位置です。うっすら上下の歯と歯の間に隙間があるでしょうか。舌の上側が上あごについていますでしょうか。普段から鼻呼吸を意識する方法については、こちらの動画をご覧ください
どれも結構な努力が必要で、いびきがすぐに止まる薬はないのかなぁと思いませんか?
イビキ改善の秘密の薬はこの二つ
女性の更年期障害の治療、女性ホルモン補充療法は、いびきに効果があります。しかしこれは誰にでも飲める薬ではありません。危険なイビキである睡眠無呼吸症候群を改善させる薬はあります。ダイアモックスやオスポロットといった、利尿剤やてんかんの薬です。体の水分バランスを強制的に変えることで、寝ている時の呼吸中枢を刺激し、無呼吸を減らします。ただし、保険適応でもありませんし、副作用が強く長く飲める薬ではないため、実際に治療に使っている病院はありません。
このように今のところ有効な治療薬は残念ながらありません。しかし間接的に、いびきに効く薬は二つあります。1つ目は、鼻の通りを良くするための薬、アレルギー剤です。鼻呼吸をして口を閉じることができれば、いびきが減ります。こちらの動画もご覧ください。
2つ目は、防風通聖散という漢方薬です。ダイエットを手助けする薬ですので間接的にいびきに効果があるでしょう。この薬は脂肪細胞を熱で分解する作用があります。下剤として有効な成分も含まれているため、便がたくさん出ます。運動と薬を併用すると減量の効果が上がるはずです。体重が減れば、イビキもきっと良くなることでしょう。
最後に危険ないびきについて、少し解説します。
まず、お子さんのいびきは、ある意味大人より深刻です。健康な子供はいびきをかきません。習慣的にいびきをかいている場合は、必ず耳鼻科を受診してください。
大人の危険なイビキの特徴を紹介します。大人のいびきは自覚症状がないので、まず自分がどんないびきをかいているか、スマホに録音することをおすすめします。その音を聞きながら危険なイビキかどうか判定してみてください。次の3種類の音は危険なイビキです。
危険なイビキを自分で判定する3つの方法
一つ目は、せわしい早いイビキです。
眠っている時の呼吸回数は、吸って吐いてを1セットとして大人で1分間に15回です。これを超えるような、せわしい早いいびきは注意が必要です。
2つ目は、往復イビキです。一般的にイビキは吸った時にだけ音がします。息を吐いている時もいびきがする場合は、危険ないびきの可能性があります。
3つ目は、イビキの最中に息がとまる無呼吸です。
ついさっきまで大いびきをかいていたかと思うと、突然止まり、しばらくして急に爆発するような大きな音でいびきが再開する。このように音がときどき止まるいびきは、無呼吸です。いびきがやんでいる間は呼吸が止まっているのです。
これらの危険なイビキ3パターンは睡眠時無呼吸症候群につながるイビキです。このような方は、昼間の症状があるかも確認してください。睡眠時無呼吸があると、睡眠時間を十分にとったとしても、疲れが取れません。朝起きた時に寝た気がしない、いつも疲れた感じがする、休みの日に昼ごはんを食べると、いつの間にかコックリコックリと寝てしまう。つまり、昼間の眠気がある。
いびき以外にこのような昼の症状がある場合は危険ないびきの可能性がありますので、病院を必ず受診してください。
命に危険が及ぶ睡眠時無呼吸
なぜ、睡眠時無呼吸症候群は危険なのでしょうか。睡眠時無呼吸症候群の人は、運転中の眠気から交通事故を起こす割合が正常な方の4.97倍高くなります。道路交通法でも無治療の睡眠障害がある場合に免許が取得できなくなっています。無治療の睡眠時無呼吸症候群の患者さん150人を追跡調査したところ10年後の生存率が80.1パーセントしかありませんでした。心筋梗塞や脳卒中などで命を落としていたようです。いびきは人に迷惑はかけても自分に迷惑はかかりません。ただし危険なイビキ、睡眠時無呼吸は自分に迷惑がかかってくるのです。
このように睡眠時無呼吸の可能性がある方は、病院を受診してください。呼吸器内科や耳鼻科がオススメです。危険ないびきである睡眠時無呼吸症候群についてはまた別な動画でお話ししたいと思います。
以上、いびきの原因とその対策についてお話ししました。まとめます。
いびきをかきやすい人は、太っていて首が太く短い人です。脂肪が喉の通りを狭くします。
顎が小さく、歯並びが悪い人もベロが口の中に収まりきらずにいびきをかきます。
口を開けた時にベロが邪魔をして喉の突き当りの壁が見えない人は、喉が狭くいびきをかきやすいといえます。
いびきの音の2大発生源は、のどちんこ周りの軟口蓋粘膜とベロの根元です。
肥満の人や、お酒を飲んだ時、疲れた時は、粘膜が腫れているので、いびきをかきます。
特に仰向けになると重力が、のどちんことベロの根本にかかるため、いびきが多くなります。50歳を超えると加齢により喉の筋肉が緩み、イビキをかきやすくなります。女性は特に更年期で気道を広げる筋肉に作用する女性ホルモンが少なくなりイビキをかく人が増えます。
減量や喉の筋肉をつけることが、いびき改善法です。簡単にできることは、横向きに寝ることです。鼻呼吸をするために、口を閉じるテープを貼ってみるのも良いでしょう。その他鼻呼吸の習慣化を普段から心がけてください。
いびきに効く薬は残念ながらありません。アレルギー性鼻炎の人はアレルギー剤で鼻の環境を良くすること。ダイエットを補助する漢方薬などがオススメです。
いびきの中には危険ないびきもあります。息を吐いた時以外吸った時にもいびきをかいたり、いびきの回数が多い場合です。うるさいイビキの間に、息が止まっていることがある場合は、すぐに病院を受診してください。
睡眠時無呼吸症候群という、昼間の眠気を引き起こす危険なイビキです。命に関わる、一緒に寝ている人にだけでなく、自分にも、迷惑がかかるイビキです。
自分でイビキをしているということになかなか気づきません。特に旦那さんや奥さんが危険ないびきをしていると伝える時、相手を責めるような言い方はしないようにしましょう。
あなたが心配で心配で仕方がない、息が止まってて健康に影響があるかもしれないから一度病院で診てもらったら?
このように伝えて、呼吸器内科か耳鼻科を受診するように勧めてみてください。
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