もうここ数ヶ月どうもふわふわした感じがずっと続いていて、色んな病院で治療したけど、原因がわからないし、薬飲んでもどうもすっきりしない。こんな方はPPPDという新しいめまいの病態かもしれません。あなたが40歳代なら尚更です。診断基準を解説しますので、当てはまるようなら、病院を受診しましょう。
持続性知覚性姿勢誘発めまいの大きなポイント、浮動性めまいが持続している。
PPPD (Persistent Postural-Perceptual Dizziness)は、日本語訳で、持続性知覚性姿勢誘発めまいとなります。
2017年にめまいの国際学会で、診断基準が決まった、新しいめまいの概念です。(参考文献) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jser/78/3/78_228/_pdf
皆さんのめまいが当てはまるか一緒に確認していきましょう。
まずめまいの感覚が以下の内容に当てはまりますか?そしてその感覚がどれくらいの時間つづくか、発生頻度も重要です。
あなたのめまいは、Dizziness=空間識障害浮動性めまい ですか?
回る感じのめまいではありません。縦揺れだったり横揺れだったり、安定を保てていない状態です。
支えがなく立っていたり座っていて、頭が後ろに持ってかれたり、横に倒れそうになっています。
一瞬ふわっと感じるような一瞬の不安定さではなく、ずーっとふわふわふわふわふわふわふわふわしている浮動感です。
めまいは Persistent=持続性 ですか?
1日の大部分、時間単位でずっと続いています。症状の強さに、1日の中で増減があります。特に夕方に連れてひどくなる傾向があります。
そのような状態が、3ヶ月以上続いている。発作のように1か月のうちの数日から1週間でなく、少なくとも15日以上ほぼ毎日起こっているでしょうか。
朝に起きたら数秒から数分回転性めまいがした、というのはPPPDに当てはまりません。別なめまいだと思いますので、この記事を参考に。

めまいが、目で見たものからの刺激や自分の動作によって悪化する
最も特徴的な点は、めまいが Perceptual Dizziness=知覚性誘発 で増悪する
この浮動性めまいが、Perceptual Dizziness=知覚性誘発であればPPPDの可能性が高くなります。
つまり動いているものや、複雑な視覚パターン(長い廊下の縞々の絨毯など)をみたときにめまいが悪化する場合です。
具体的には
①パソコンやスマートフォンのスクロール画面を見る
②テレビや映画などで激しい動きのある画像を見る
③本や新聞などの細かい文字を見る
④スーパーやホームセンターなどの陳列棚を見る
これらのような複雑な視覚刺激でふわふわが一旦悪化すると、しばらく続きます。数秒からから数分という、瞬間的なものではありません。
めまいが Postural Dizziness=姿勢誘発 で増悪するかも必要条件
歩行や立位の姿勢、一定の動きでめまいが増悪します。ただしこれらはPPPD以外でもめまいが引き起こされますので、これだけでは確定となりません。
自分の意志と関係なく体が動かされるような受動的な刺激による場合と、自分から能動的に体を動かすことでめまいが悪化するか2つに分かれています。
自分の意思と関係なく体が動かされる、受動的な動作でめまいが悪化するか
具体的には
①エレベーターやエスカレーターに乗る
②車バス電車などの乗り物に乗る
③何の支えもなく立ったままの状態を保つ
④丸椅子など背もたれ肘掛けのない椅子に座った状態を保つ
これらの受動的な運動をや立位や座位の姿勢保持をしていて、浮動感を長く感じているようであればPPPDの可能性があります。
自らが行った能動的な、一定の動きをしていてフワフワが持続するか
能動的な動作(自ら行った動作)でめまいが悪化する場合もPPPDの可能性があります。
具体的には
①普段通りに自分のペースで歩く
②比較的早い速度で大股で歩く
③家事など軽い運動や体を動かす作業をする
④急に立ち上がる急に振り向くなどの急な動作をする
これらの能動運動です。これらによってめまいが誘発されますでしょか。③などは複雑な動きでふらつく場合がありますが、ここでも数秒から数分の瞬間的なふらつきではなく持続的かどうかが問題です。
加齢によるバランス機能とは異なるので、年齢も大事
姿勢誘発、つまり動作によって浮動感を感じることは、加齢によるバランス機能低下によってもかなり起こります。
つまり60歳以上で筋力低下などで姿勢を保持することが厳しくなったとか、転倒骨折して足腰が弱っているような場合です。このような場合PPPDには当てはまりません。
PPPDの方は40歳代に最も発症していて、中央値は47歳です。(参考文献2)
視覚刺激による浮動感悪化があるかどうかが最も重要
加齢による場合は、視覚刺激による浮動感悪化をあまり認めません。視覚刺激による悪化も伴うかどうかがPPPDの診断に最も重要です。
さらに一瞬や数分の悪化でなく数時間は悪化してしまうので、そのような行動を意識的に避けているようであれば間違いないと思います。
最後に以前に大きなめまいを感じた経験があるかどうかを思い出しましょう
PPPDはある意味、以前に体験しためまいを克服するために、体がよかれと思って行った補正の反応が過剰状態になって起こっています。
そのため以前にそのようなめまいを体験しているかが絶対条件です。最も多いのは耳からくる発作のようなめまいです。回転性のめまいが多いと思います。
それ以外にも急に立っていられなくなってフワフワしてしゃがみ込んで数分から数十分動けなかった経験や交通事故などによるむち打ちや脳震盪のような体験も含まれます。
上記に当てはまるようであれば、めまいが専門の耳鼻科医を受診することを推奨します。PPPDは新しい疾患概念なので、まだ一般の内科の先生にまでは、病態が拡がっていません。知らない医師も多いので、めまい相談医の資格を持った医師をオススメします。
新潟大学耳鼻咽喉科では、この疾患の研究とともに啓蒙活動に力を入れています。YouTube動画もありますので参考にしてみてください。
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