子供のふらつき、めまい、に対して経験の少ない医者が多い

子供に多いめまいについてまとめました。大人に多い良性発作性頭位めまい症と小児良性発作性めまい症は全く異なる疾患です。お子さんの年齢によってめまいを引き起こす疾患を見分けていきましょう。

この記事を書いた人

富田雅彦:耳鼻咽喉科専門医:ドクターズファイル

病院に受診しないために自分で判断できるような医療知識を発信中

富田耳鼻科クリニック@新潟県新発田市舟入町3丁目11-18-7

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本日小学校1年生の元気な男の子がめまいすると受診されました。

 今日の診察で7歳の男の子が受診しました。お母さんが説明してくれます。『年長の頃から,運動した後とかにクラクラして立てない、歩けないっていうことがありました。少し休むと良くなって。時々吐きぽくなって保育園に迎えに行くことが何回かありました。今年小学校に上がって4月と5月に1回ずつ同じことがあって保健室に迎えに行きました。このとき立てないぐらいなので、おんぶして家まで連れて帰りました。家では何事もなかったように普通にしています。この時、本人は目が回っていて、立てなかったと言ってました。小児科受診して、血液検査とか心電図とか調べたけど異常はなかった。耳鼻科に行ってみたらと言われて別な耳鼻科にいったけど、異常はなくて・・・。疲れとかではないかと言われた。昨日も同じことが続いたので今日来てみました。』

お母さんは頭痛によく悩まされませんか? 

  私はこの話を聞いて、まずお母さんに『お母さんは頭痛で時々辛いことはありませんか?』とお聞ききしました。 お母さんは答えます。『この子の弟が生まれて体質が変わったのか、最近はないけど子供を産む前は、結構頭痛がありました。』 更に私は、お子さんのおばあちゃんはどうでしたかと聞きました。 『この子のおばあちゃんの方が頭痛がひどくて、いつも吐きっぽくなって、よく薬を飲んでいます。 』私は、この話から診察の前にもう病名が予想されました。小児良性発作性めまい症です。 この病気はまだ日本で浸透していないため、この病気の存在自体を知らない医師も多くいます。 

医師が、お子さんのめまいを診断する機会が少ない 

 何故病名が浸透していないか。そもそも、お子さんのめまいを診断する機会が少ないためです。お子さんのメマイは、色々なめまいを診ることのある、大学病院であってもめまい外来患者のわずか数%です。お子さん自体が、めまいという症状を口で説明することができない事も理由の一つです。めまいという単語をそもそも知りませんよね小さい子は。めまいという状態を表せるのは4から5歳以上で可能といわれています。そして、大人のようにめまいが起きた状況を時間に沿って的確に表すことはできません。大人でも難しいのです。↓

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特に2歳から3歳以下では、転びやすいとかうまく歩けないという事に、親が気づいて受診することがあります。乳幼児では発達障害によるめまいを考えますが、4から5歳から自分で訴えてめまいをしていることが確実であれば、しっかり起こった状況や様子を聞くことで診断することが可能になってきます。

意外と多い、小児良性発作性めまい症と片頭痛関連めまい 

 海外の報告では、幼児のめまいの40%を占めるのが、小児良性発作性めまい症または片頭痛性関連めまいと言われるものです。 気をつけなければいけないものは小児の脳腫瘍です。発症割合は年に2人/10万人とされています。脳腫瘍が大きくなれば、頭の中の脳を囲んでいる液体の圧力が高まり、いろいろな症状が出てきます。頭痛や吐き気、歩けないというものも出ますし、目がくるくる回ったり筋肉に力が入らないという症状もでます。四肢の麻痺などの症状も出てきますので、進行すればめまい以外の症状が必ず出てきます。 悪性であれば急速に大きくなってすぐにめまい 以外の症状も出てきます。

  小児良性発作性めまい症は2から4歳で発症します。回る倒れるなど、お子さんが言う場合が多いです。めまいが起きている時は、立てないのですが受け答えができて意識ははっきりしています。耳鳴りや耳が聞こえないという耳の症状はなく、立てない状況は数秒から数10分ぐらい続きます。1から2ヶ月に1回ぐらい発作があります。半数は親に片頭痛の病気を持っています。このめまいは成長とともになくなります。片頭痛に関連しためまいの一種と考えられています。そのため思春期以降に片頭痛を発症する場合が多く認められます。 大人でよく認められる良性発作性頭位めまい症とは全く異なるものです。

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片頭痛関連めまい、小児心因性めまい

 小児良性発作性めまいの類縁疾患として、片頭痛関連めまいというものもあります。頭痛の前後でふらつきを多く訴えるものです。吐き気も一緒におこります。 これは大人でも片頭痛と共に起こるめまいでとても多いものです。 この他、真面目な子で、6から7歳ぐらいで多く認められるのが小児心因性めまい症です。家族や学校での人間関係に問題が起こり生じるめまい感です。心の不安がメマイという状態で現れるものです。睡眠不足や疲れなども原因になりやすくパニック障害や過換気症候群も一緒に出てきます。立って重心を見る検査結果が非常に悪く認められて気づかれる場合もあります。

起立性調節障害は思春期に最も多い 

 思春期のめまいでは、起立性調節障害の割合がとても高くなります。これはいわゆる立ちくらみのひどい状態で、起き上がったりすると脳の中に血液を溜めて入れなくなり、一瞬脳血流不全が起こり、目の前が暗くなる感じというものが出現します。慢性化すると頭がクラクラするといった症状を常に訴えます。特に血圧が低くなくても、寝ている時と立っている時の血圧や脈の差で診断がつきます。睡眠不足や疲れなどの自律神経の異常により血圧や心拍などの変動が起こります。日本心身医学会のHPも参考にされてください。http://www.jisinsin.jp/detail/01-tanaka.htm

 女性では月経が始まることで出血傾向が起こり、貧血を発症します。これによる立ちくらみのような症状でもめまいと訴え来院されます。さらに片頭痛自体は思春期から発症してくることが多いため片頭痛関連めまいというものも念頭に置く必要があります。受験や人間関係など中高生はストレスも多く出てきますので心因性めまいも、この時期多く認められます。

お子さんのめまいは、大人のめまいと全く異なる

 このようにお子さんのめまいは大人のめまいと全く異なる要因で起こることが多く、本人もうまくめまいの症状を説明しづらいため、小児科のみならず色々な科を受診して、やっと診断がつくということもあります。めまいをたくさん見ている先生に診察してもらうことをお勧めします。小児のめまいでは起立性調節障害も含めて、良くなります。診断後の長期たってからのアンケートを行うと、何の病態であっても80%以上で、めまいの消失や改善が認められています。お子様のめまいは、回復の過程が早いので、めまいの病名、理由がわかれば、親御さんも比較的安心して見守ることができると思います。 

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