朝起きたらめまいがした。こんな時、半分は耳石が原因によるものです。良性発作性頭位めまい症を解説

ここ数日、朝起きたらめまいがした。これは、ほぼ良性発作性頭位めまい症です。緊急性があるめまいを除外して、本当に良性発作性頭位めまい症か自己診断できるように記事を書いています。その後の注意点も解説していますので、読んでみて病院に受診するかどうか決めてください。

この記事を書いた人

富田雅彦:耳鼻咽喉科専門医:ドクターズファイル

病院に受診しないために自分で判断できるような医療知識を発信中

富田耳鼻科クリニック@新潟県新発田市舟入町3丁目11-18-7

目次

めまいが起こった時、まず緊急性があるかどうかを判断

緊急性のあるめまいとその頻度は、脳血管疾患6%、不整脈1.5%です。血管が詰まる破けるなどの突然発症か、体の麻痺、しびれがないか、意識は問題ないか、胸の痛みや頭痛はないかを確認してみてください。

どうも症状は、めまいだけのようだと思ったら、次に大事な点はお話しができるか、歩けるかどうかです。

簡単にできることは、パタカなどと発音することです。滑舌が悪く、しゃべりづらい場合は注意が必要です。

めまいが数分でも落ち着いたあとに歩行してみてください。フラフラしながらも転倒したりしないで、壁づたいでも歩ければ緊急の状態ではありません。

歩幅のコントロールが効かなかったり単純な手足の運動ができないような歩き方は注意が必要です。

朝起きたらめまいした!その瞬間を細かく思い出そう

第1問:朝起きたらの行動を細かく思い出しましょう。

目が覚めた瞬間かその後動いた時なのか、どんな動きの時なのかで分けます。

大体3パターンだと思います。

  1. 朝、目が覚めて、目を開けて天井を見たら既に目の前や頭の中が回っていた。もしくはめまいがして目が覚めた。
  2. 朝、起きて時計を見ようとして寝返りを打ったらめまいがして動けなくなった。
  3. 朝起きて活動しようとして、がばっと起き上がったら、急にめまいがして立てなかった。

この場合の2番と3番は良性発作性頭位めまい症(略してBPPV)と考えてよいと思います。さらに確定するためには次の質問。

第2問:その時にどのようにしましたか?3パターン挙げます。

  1. じっとしていてもめまいが続いていた。
  2. 目をつぶって、じっとしていたら数分で治った。
  3. 5-10分ぐらいしたら動けるようになった。

2番3番なら、やはり良性発作性頭位めまい症です。

第2問で1番と答えた方でも、じっとしていたという部分に注目してください。

寝返りを打ったとか、第1問の③の後に再び横になった、というのは、じっとしていたには含まれません。全く動かなくてどうだったでしょうか。

②の人が多いのではないでしょうか。座って休んでいたというのもじっとしていたに含まれます。

その後動いたら、まためまいがしたとしても一度数分収まって入れば②と③です。つまり良性発作性頭位めまい症です。

良性発作性頭位めまい症のガイドライン

良性発作性頭位めまい症のガイドライン良性発作性頭位めまい症診療ガイドライン(医師用) (memai.jp)の記述を示します。症状の特徴は以下の二つです。

起きた時、寝た時、棚の上の物を取る上向き、または洗髪のような下向きの頭位、寝返りなどで誘発されることが多い、回転性めまい

②めまいをしている時間は、概ね数秒から数十秒である。

先ほどの二つの質問を見返してみてください。第一問、朝起きた時のめまいが、動いたことによって起こったのであれば②と③がガイドラインに当てはまります。

第二問、めまいがした後に全く動かずにじっとしていて、めまいが治まっている。またそれが長くて数分ということで②と③がガイドラインに当てはまります。これにより良性発作性頭位めまい症という診断がほぼつきます。

他に特徴的な症状としては、朝ではなく、美容院で洗髪のために、椅子を倒されたときや起き上がった時、歯医者さんで診察の時に椅子を倒された時に起こります。

美容師さんはお客さんがそのようになって少し休んでもらったなんて体験があるかもしれません。

良性発作性頭位めまい症は、自然に治り後遺症を残さないからこそ良性の名がついている

良性といわれているだけあってほとんどの人は自然に治ります。薬も必要ありません。

発症からめまいが消えるまで1ヶ月くらい、 日常生活に影響がなくなるのはもっと短く大体1-2週間です。後遺症も残りません。

めまいをすればするほど早く治ります。ただし、めまいがありすぎると、ジェットコースターから降りてきた直後のように気持ち悪さだけがずっと残ります。

当院に受診された患者さんには、昼間はめまいをする体勢、頭位を取らないように指導し、吐き気を抑える抗めまい薬を処方しています。

夜寝る前とか余裕のある時に、めまいをわざと起こさせる運動をしてもらい、結果的に早く良くなるような治療を行っています。

前述のガイドラインにも、めまいが起こる頭位を繰り返すと、めまいは軽減または起きなくなることが多いと記載されています。

なぜこのようなことになるのでしょうか。

耳石が三半規管に迷い込んだことがめまいの原因

これには良性発作性頭位めまい症の原因を考えるとわかりやすいです。

耳の奥にある、バランスのセンサーである三半規管の中に、耳石と言われるカルシウム結晶が紛れ込んだ結果めまいが発生します。

この耳石は、重力を感知する耳石器という水平なお皿の上に固定されているはずのものです。

目と耳の結ぶ線上にある水平なお皿が、天井を見て寝ることで、垂直になります。こうして寝ている間にお皿の表面から耳の石が剥がれ落ちます。

お皿より頭の後ろ側にある三半規管に転がって迷い込むのです。

朝、ガバッと起き上がった時に、三半規管で姿勢を感知します。

三半規管内の迷い込んだ耳石が体の動きに一瞬遅れて、転がりはじめます。こうして少し遅れてめまいが発生します。

じっとしていると転がった耳石が体の動きに遅れて止まるため、めまいも数秒から数十秒で止まります。 

めまいが引き起される=耳石が転がっているということになります。

耳の石が転がると、周りの壁にぶつかり、だんだんとこすれ石が小さくなり、最終的に溶けてなくなります。この状態をめまいの体操で創り出すのです。

つまり耳の石を転がさせ、早く消失させることで、めまい症状の改善ができます。これがめまいの頭位治療と言われるものです。

良性発作性頭位めまい症に対する非特異的運動療法について (jst.go.jp)

三半規管は文字通り、三つの方向に応じて、前半規管、後半規管、外側半規管に分かれています。

耳石が迷い込む三半規管は、後半規管が6割を占めます。残りが外側半規管で、前半規管は稀です。

どの半規管に耳石が迷い込むかによって、運動治療の方法が微妙に異なります。正確にどの部位に耳石が迷い込んでいるかを診断するのが、難しいので二つの頭位治療の両方をしてみてください。

良性発作性頭位めまい症に対する頭位治療2つ

いずれも、めまいを起こす治療ですので、めまいが起こった場合は収まるまで待ってから、次の体位に移ってください。

①ベッド脇やソファーに座って左右に倒れる運動です。正面をみたまま2から3秒かけて倒れましょう。左右に交互に10回行いましょう。時々首を左右上側に45度ひねった状態で倒れるとより効果的です。

⑥坐位→右側臥位→坐位→左側臥位(10回ずつ)


②寝返り運動です。あおむけに寝て10秒数えてください。寝返りを打つように、体ごと左に傾けて10秒数えます。その後仰向けになって10秒、右も同様に10秒間ずつ行ってください。往復5から10回してみましょう。

耳石による「良性発作性頭位めまい症」解消と予防の寝返り体操 | NHK健康チャンネル

何もしないでいると完全に石がなくなるまでBPPVの6割を占める、後半規管型では約40日かかると言われています。

その前にめまい症状は軽くなります。少しでも早く治りたい人は、この頭位治療を無理のない範囲でやってみてください。 

そもそも耳石がなぜ剥がれてしまうのでしょうか。

年齢とともに耳石は剥がれやすくなります。

女性ホルモンの低下や骨粗しょう症と関係しています。 枕が低い方やいつも同じ体勢で仕事をしている方も、剥がれ落ちやすいと言われています。そのため中年女性に多く出現します。

ただし誰でもなり得ます。3割の人は一生で一回は良性発作性頭位めまい症になると言われています。めまいの病気全体では、二人に一人が良性発作性頭位めまい症という報告もあります。

厄介なことに、良性発作性頭位めまい症の1/3から1/4の人で、めまいを繰り返すと言われています。

特に頭に外傷を受けたことのある人や内耳の病気がある場合に繰り返し起こりやすいです。

これを予防するために、耳石が剥がれないように水分とカルシウムをよく取りましょう。もし耳石がはがれてしまっても、寝ている間に三半規管に入り込まないように、まくらを高めに寝てみてください。

起きる時と寝る時には必ずめまいがすると心の準備、昼間はめまいの体勢をとらないように過ごす、余裕があれば頭位治療を

後半規管型BPPVでは起き上がった時と寝る時にめまいが出ます。日中はなるべく横にならないようにして、頭の上下をしないで、水平移動するようにしてください。

美容院や歯医者で椅子が倒されることでめまいがしますので、めまいが治るまで行かない方が良いでしょう。

高いところのモノを取ることや下を向いて靴紐を結ぶようなこと、うなずくという相槌なども避けるようにしましょう。

寝るときにだけめまいがすると心の準備をして横になり、余裕があれば前述の頭位治療をして、早く耳石を溶かしましょう。

外側半規管型BPPVで起こるめまいは、寝返りを打つことで強く起こります。振り向く行動も要注意です。

後ろを向くときは首だけを動かさず、体ごと後ろに回って向きましょう。車の運転ではバックで駐車するときなど、後ろを振り向くときに注意が必要です。

生活するのに支障が出て仕事を休む方もいますが、体感的にめまいがつらいのは1から2日です。耳石が自然消失するまで15日とやや短期間であることが分かっていますので、めまいがなくなるのを待ちましょう。 

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