鼻出血で耳鼻科を受診したら、行われる処置について解説します。

何度も何度も鼻血が出てしょうがない、調べて止め方は分かったんだけど、仕事中や人に会ってる時に急に鼻血が出たら困る。このような方に鼻血で耳鼻科を受診した時に行われる処置について解説します。

この記事を書いた人

富田雅彦:耳鼻咽喉科専門医: ドクターズファイル

めまい平衡医学会認定めまい相談医

YouTube: 耳鼻科医富田のいいみみチャンネル

富田耳鼻科クリニック@新潟県新発田市舟入町3丁目11-18-7

鼻血を繰り返して病院に行こうかと考えている方、鼻血がよく出るから、鼻を焼いたら止まるんだよないかと考える方、こういった方は、最後までブログをお読みください。

目次

鼻血は右からか左からか、前方からか後方からか、出方で判断

まず私は鼻血の患者さんを見る時に右か左かを聞きます。両方と言われても最初がどちら側だったかをしつこく聞いています。抑えていて、反対側に回ってきたということも考えられるからです。

その後、前方からか後方からかを判断します。出血の時にどんな感じだったかのお話をききます。抑え方や止まるまでの時間どれだけ喉に回ってきているかから推察します。

前方からと後方からで止血の対応は変わるからです。

ほとんどが前方からの出血です。この時3つの事を確認します。押さえ方を知っているか、鼻の粘膜が荒れていないか、出血しそうな血管があるか、です。

前からの鼻血は、鼻を押さえれば止まる

止め方をまず説明します。鼻血がでた時にすぐ止められれば安心感がが得られます。止め方はこの記事を参考にしてください。

必ず下を向いて、鼻の柔らかいところを、内側に向かって抑えましょう。

皆さんが耳鼻科に受診したら、まず鼻のファイバーで鼻の粘膜を観察します、鼻の穴入ってすぐ家側のキセルバッハという場所が鼻血が一番出やすい場所です。

この部分の粘膜が荒れていると、ちょっとした刺激ですぐ鼻血が出てしまいます

この場合の鼻血はしょっちゅう出ますが1回1回は短時間で止まります

乾燥した空気やアレルギー性鼻炎、鼻前庭炎でも鼻血が出やすくなります

こういった場合、鼻の粘膜の荒れを良くするのに、軟膏を処方して、塗ってもらいます。また、鼻を刺激する回数を減らすために、アレルギー性鼻炎のお薬を飲んでもらっています。

鼻を極力いじらないようにすることも大事ですので指導します。

鼻粘膜の太い血管を電気凝固する場合も

鼻の入口に太い血管がはっきりとわかることもあります

膨れた血管は簡単に傷つきやすく1度出ると押さえても止まり辛いです

このような欠陥の場合、短期間で何度もある程度の量の出血があるのです。

ほとんどが静脈ですが、なかには動脈からの出血で抑えても、なかなか止まらずティッシュがすぐに血まみれになるようなこともあります。

このような場合、血管を電気で焼く治療が行われます。血管を周りの組織と共に挫滅させます。

血管を焼くことで、1ヶ月は鼻血が出ることがありません。焼いた組織は1ヶ月程度で元通りになります

ほとんどは血管が新しくはなりませんが、いわゆる血管腫と言われる静脈奇形の場合は、数ヶ月で血管が新たに再生し、再び鼻血が出る可能性はあります。

血管を焼く際にはわずかに痛みがあるが、小学生でも可能

電気焼灼術前に、血管収縮させる薬剤と表面麻酔の薬剤を混ぜたガーゼを鼻に挿入します。鼻の粘膜表面をある程度麻酔して行います。

それでも粘膜が焼かれる時にチクっとした痛みがあり、わさびの効いた醤油をつけて刺身を食べた時のように、ツーンとして涙がポロリと流れる人もいます。小学校高学年でも、我慢できる程度です。

1週間程度は鼻にカスがつきやすくなりますので、軟膏を塗ってもらうことも多いです。もし前方からの鼻血だと診断がついたらここまで説明した対応を行います。

鼻血が出ている場所が分からない場合は鼻にガーゼを詰め込む

では、出血点がわからずに、何回も鼻血を繰り返している場合はどうするのでしょうか?

毎晩のように鼻血が出て、いつも起きて二から三日の間、まともに寝れていない。

鼻血が出て抑えてもいつも反対側から出たり、喉にまわることが多い。

このような場合は、前方以外の鼻血を疑います。のどに鼻血がまわりやすく、苦しく咳込んでしまいます。

鼻血が後ろに回らないように、上顎の突き当たり、のどちんこの裏側、鼻の奥の上咽頭という空間を塞いでしまう処置が、過去には行われていました。

べロックタンポンやバルーンカテーテルといわれるものです。鼻の奥に風船を膨らませて、鼻の突き当りと奥側に栓をしていました。

しかし現在はあまり行われていません。のどへの血の流入を完全にせき止めることが出来ないからです。さらに苦しく食事もままならないので入院が必要だからです。

内視鏡の性能が上がり、鼻の奥であっても出血点が分かる場合が増えています。血管の走行から、後方で出やすい場所が何ヶ所かありそこを重点的に観察します。そこで出血点が分かれば、手前の鼻血対応と同じように電気凝固する病院もあります。

ただし、出血布団は鼻のの一番奥で狭く遠くて、1人で電気焼灼は難しい場所です。

そこで鼻の中、隅々までガーゼを詰めるということをします。

片鼻に、人差し指大のガーゼが10本くらい詰め込むことも

鼻の粘膜全てを内側から圧迫して、鼻血を止めようとします。人差し指大のガーゼが多いと10本ぐらい、片鼻に入ります。

鼻の穴がパンパンになるくらい詰め込みます。鼻の中がわから鼻の粘膜全体を圧迫できます。これであらかたの鼻血は止めることができます。

ガーゼは5日前後入れっばなしです。片鼻がパンパンになるので入れる時に痛いということが難点です。

更にガーゼは人間にとって異物ですので入れっぱなしの間は、鼻水がダラダラ出たりとかくしゃみが出やすい状態になります。

鼻にガーゼを入れても日常生活は可能です。幸い今は皆さんマスクをしていますから、鼻にガーゼが入って綿が入っていてもあまり目立ちません。

ガーゼが入ってる間に痛みやすい血管が修復し強い血管になります。5日から1週間でもう一度、受診してもらい鼻のガーゼを全部抜き、そのまま血が出なければ終了になります。

耳鼻科受診しても、鼻血が止まらなくて入院になる人は5%程度

それでも鼻血が止まらない場合は、入院になることが多いです。鼻血で耳鼻科を受診した人の5%程度が入院になります。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrhi/58/2/58_243/_pdf/-char/ja

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrhi/51/4/51_481/_pdf/-char/en

鼻の中に詰め込んだガーゼが日常生活で緩んでしまったり、出血点がガーゼの届かない奥だった場合、出血を繰り返します。

入院することで、規則正しい生活、基本的にあまり動かなくなりますので、血圧変動が少なくなります。

入院した人のほとんどはガーゼパッキングがしっかりされていれば鼻血は止まります、平均7日程度で退院します。

パッキンをしていて安静にしているのに鼻血を繰り返す、大量に出てしまう、こういう場合は、全身麻酔をかけて鼻の粘膜を焼いたり、鼻の空間を広げる手術を行うことがあります。

鼻の左右のついたてである鼻中隔が曲がっていて、鼻の中にガーゼを綺麗に詰め込めないのも原因の一つだからです。

全身麻酔をかけ、鼻中隔弯曲を真っすぐにする鼻中隔矯正術を行い、鼻の奥まで綺麗にガーゼを詰め込みます。

何度も何度も鼻血をくり返して、貧血が進んだ場合は当然輸血を行います。

血液をサラサラにしている薬を飲んでいる場合、薬をやめることはありません。よく自己判断で鼻血が出たからといって中止する人がいますが、中止しないでください。

薬をやめることで、脳梗塞や心筋梗塞になっては困るからです。

最近は鼻出血を起こす副作用を持たない血液さらさらの薬も出てきています。鼻血くり返す方は主治医の先生と相談してみてもいいかもしれません。

鼻血は我々耳鼻科医が何とかしますので、鼻血が止まりづらい人は病院を受診してください。

まとめ

鼻血の出方、止まるまでの様子から、右か左かを耳鼻科医は推察する

鼻の粘膜を観察し、出血がどこからあったかを観察

鼻の入り口の粘膜が荒れている場合は、軟膏を処方

出血の原因の血管がわかった場合は電気で焼く

出血部位が分からない場合は、鼻に隙間なくガーゼを詰め込んで止血

ここまでしても血が止まらない場合は入院治療、全身麻酔の手術をすることも

鼻血が出るからと血液サラサラの薬は自己判断で中止しないこと

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