口の奥に米粒みたいなくさいカスがついてる。臭い玉といわれる、扁桃腺の膿栓を解説します。

口の中から嫌な臭いがする。口を開けて鏡で見たら 白い膿が扁桃腺にある。それは臭い玉とも呼ばれる扁桃の膿栓です 。原因や治療を解説します。

目次

口の中、扁桃腺に見える白い米粒は、膿栓です。

口蓋扁桃、いわゆる扁桃腺は外からの空気を吸い込んだ時の、最初の砦です。外から侵入する細菌やウイルスに対して防御的に働いています。さらに扁桃腺は細菌やウイルス自体が感染して腫れる部分でもあります。

この扁桃腺の表面はつるっとしていません。ゴツゴツしていて、内側に入り込んでいます。陰窩と呼ばれる溝を作っています。この溝によって扁桃腺の表面積は、他の喉の粘膜の6.5倍広くなっています。 細菌を効率的に殺せるような構造になっているのです。

この溝の奥には古くなって剥がれた扁桃の組織や細菌の死骸、食べ物のカスなどが塊になって溜まります。これが米粒のようになり、膿栓を作っています。

硫黄の匂いのする温泉と同じ成分である、揮発性硫化物を膿栓の細菌が産生しています。なのでこの膿栓はとても臭く、臭い玉とも呼ばれるのです。

膿栓は、炎症の程度で出現しますが正常な人でも見られます。

扁桃の炎症が原因で白いものが作られます。急性に起こったものか、慢性的に起こっているかで分けられます。

急性炎症では、膿栓は一つや二つでなく、両方の扁桃腺にたくさん現れます。細菌やウイルスが扁桃に感染して、炎症が一気に強く起こり、膿がたくさん作られるために起こります。この場合は発熱しますし、痛みがあるので病院での診察と治療が必要です。

慢性炎症では、いわゆる臭い玉と言われる、米粒大の物が、数個できるものです。数ミリから、大きなものは2センチぐらいまでの塊になります。扁桃周辺を圧迫すると、液体が排出されたり、膿栓が飛び出すこともあります。

そのこと自体は必ずしも病的なことではありません。正常な人にも見られます。

昭和40年と古い報告ですが、大阪府高槻市の小中学校学校検診において14868名を調査したところ、膿栓は小学生で35%、中学生で30%に認められています。(参考文献:慢性口蓋扁桃炎の病態に関する臨床的研究 耳鼻臨床60:7)

慢性的な炎症があると膿栓ができやすいし、扁桃が大きいと炎症が起こりやすい。

臭い玉が、いつも同じところにできるという人がいます。これは扁桃の表面が、そこだけやけに凹んでしまっているため、自然に膿や細菌のカスが剥がれずに、溜まりやすくなっているためです。

扁桃が大きいと外からの細菌やウイルスに防御する反応も強くおこります。さらに表面もゴツゴツしやすくなります。

実際先の報告では、過去一年間にのどの痛みや発熱がどの程度あったかの既往調査もされています。のどの痛みや発熱があった人ほど膿栓の付着率は高い傾向がありました。さらに扁桃が大きい人ほど膿栓の付着率が高くなり、小学生の45.9%、中学生の53.1%に見られました。

膿栓の予防は、口呼吸をやめて、禁煙や体調を整えること

基本的に膿栓は治療は不要です。しかし膿栓は口臭の原因となることから、口臭が気になったり、膿栓が貯留することで咽喉頭の違和感が続くような方は治療をしても良いと思います。

耳鼻科にいけば専用の器具で除去してくれます。洗浄を連日して付きにくくするような処置もあります。痛みをともなったり、手間がかかるなどからあまり現在では積極的に行う耳鼻科クリニックは少ないです。しかし臭い玉が、貯まって気になる場合は耳鼻科医を受診してみましょう。

自己管理としては、頻回うがいになります。体が疲れて、抵抗力が落ちたりした時にできやすくなります。さらに口呼吸の癖があり、外の汚れた空気を鼻からでなく口から吸うことが多い人は、扁桃で防御反応がおこりやすく、膿栓が付きやすいと思います。

鼻呼吸をする習慣と体調を整えましょう。禁煙や禁酒も効果的だと思います。体調のバロメーターとしての膿栓と考えましょう。

まとめ:扁桃からの臭い玉はそのまま放置で心配なし

気になればうがいか、耳鼻科で除去してもらおう

扁桃の防御反応をへらすためにうがいと体調管理を

口臭の原因と言われやすい、舌の白苔についての解説記事も参考に。

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