鼻がノドにまわる後鼻漏の原因は、副鼻腔炎(蓄膿症)だけではありません。

後鼻漏で悩む方へ。その症状は蓄膿症で典型的です。ただし原因はそれだけではないこともあります。鼻が喉にまわって不快な方へ後鼻漏についてまとめました。

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後鼻漏とは鼻水がノドに流れて不快に思う状態

後鼻漏とは、鼻水がノドに流れて来ることです。後鼻漏自体は正常でも起こっています。この時に、皆さんは、鼻の突き当りに何かがあると感じ、鼻を強く噛んだり、鼻水をすすってみたりすると思います。

耳鼻科へは、この後鼻漏が意図的に排除しようとしても除去できない場合に、後鼻漏があるとして受診されます。

後鼻漏の原因トップ3は副鼻腔炎、カゼ、アレルギー性鼻炎

この3つはどれも、鼻や副鼻腔から作られる分泌液が、通常より多くなっている状態です。このため鼻の前から出る量も増えますが、ノドに回る分泌液の量も増えるわけです。

実際に、無治療の膿性の後鼻漏を採取して、細菌を調べた研究があります。https://doi.org/10.7248/jjrhi1982.37.4_284

185例の細菌検査をしたところ、鼻の手前の鼻水の菌と、後鼻漏の菌が一致していました。これらは副鼻腔炎の菌で多い、肺炎球菌やインフルエンザ菌が多く認められたそうです。

副鼻腔炎が特に膿性の後鼻漏の原因として一番で、45%を占めていると言われています。

カゼを引いた後に2週間しても後鼻漏が治らない場合は、急性副鼻腔炎となっていると思われますので抗菌剤治療が必要です。

後鼻漏が実際に目で観察できない場合も多い

前述の3大原因であれば、後鼻漏がファイバー検査などで鼻の突き当りに存在していることを確認できます。

お子さんでは口を開けたときに、のどちんこの後ろに粘液が付着しているのを観察できます。

しかし訴えがあっても確認できない人もいます。8.6%が後鼻漏の訴えがあるにもかかわらず視診上確認できなかったという報告があります。https://doi.org/10.7248/jjrhi1982.36.3_35

このような場合、心因性や加齢性変化、ノドの異常感への診療を考える必要があります。

後鼻漏を感じるのは、鼻水がノドに移動する速度低下が原因

鼻の中には約4.5万の鼻水を作る細胞が存在しています。これらはほとんどが鼻の前方に分布しています。これらから1日に作られる、鼻水は0.6から1.8リットルです。

この粘液は、ベルトコンベアの様に粘膜細胞表面を喉の方向へ絶えず移動しています。鼻の奥ではこの移動速度が速くなっています。

この移動速度は、湿った環境(湿度90%以上)で最大となるように設定されています。このため、湿度が下がったり、温度が低くなったり、PHが低下するなどの環境変化により鼻水の奥への移動機能が低下します。

このような状態では鼻水がノドへの移動が遅くなり、常に鼻の奥に何かがある状態つまり後鼻漏と感じるのです。

実際に、後鼻漏を訴える患者15人と正常の15人のそれぞれの鼻水を採取して比較した研究があります。その結果、後鼻漏を訴える患者では分泌物の粘性が高くなっていて、細胞の粘液移動機能が低くなっていることが分かっています。DOI: 10.1016/j.chest.2019.04.133

加齢性変化で鼻の環境がかわり、後鼻漏を感じることが多くなります。高齢になると、鼻粘膜が萎縮し、加湿機能が低下するからです。

このような場合はマスクによる加湿、人肌に温めた生理食塩水による洗浄や加湿を勧めます。冷えに対する漢方薬などによる治療も効果がありますが、なかなか難しいことが多いです。

咽喉頭異常感へのアプローチも重要

年齢による変化、カゼを引いたわけでも、鼻をかむ回数が増えたわけでもないのに、後鼻漏があると訴える患者さんは多くいらっしゃいます。

意外に多い訴えは、患者さんが喉に何かが流れる感じや喉の異物感、頻回に咳払いなどをするというものです。

この場合ノドの異物感の症状の原因を、患者さんなりに考え、鼻がわるいからノドに影響が出ていると思っていることが多々あるのです。

後鼻漏感といわれる状態です。後鼻漏は存在していないのにそこにあるように感じている状態です。

鼻腔後方から喉には知覚神経が密に存在しているため、粘膜が乾燥したり萎縮したり、鼻汁の移動量の低下が起こると、後鼻漏感をより感じられるようになると考えられます。

特に乾燥はノドの違和感も引き起こします。ストレス下で交感神経の優位な状態が続き、唾液や粘液分泌が減少するような状況にあると、鼻の奥からノドの湿度が低下して後鼻漏感やノドの違和感の原因になります。

後鼻漏のない後鼻漏感は、確定診断が難しく、色々な薬で症状がどうなるかの診断的治療を行うほかない

後鼻漏は、実際に患者さんが目で見てあるかどうか判断できるものではありません。鼻の奥になるので見ることができないからです。

耳鼻咽喉科でファイバーなどで鼻の奥を確認することが重要です。膿性の後鼻漏があれば副鼻腔炎やカゼの状態で良いと思います。白色から水性鼻汁であればアレルギー性鼻炎が原因です。

後鼻漏が存在していないのに異物感を感じる場合が難しい状態です。その時にたまたま鼻の奥に何もないだけかもしれません。後鼻漏がないのにあると感じている後鼻漏感かもしれません。

最終的には、3大疾患以外の状態を確定することは難しいことが多いです。このため様々な薬を試してみて、症状が良くなるかどうかの診断的治療をするしかありません。

耳鼻科で3大原因かどうかを確認してもらい、異常がなければ、どのように症状を緩和していくかを第一に、色々な薬を試していきましょう。

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