子供のイビキは息が止まっているかを確認して。無呼吸による睡眠不足があれば、成長や発達の遅れにつながります。

子供のイビキは様子見ていいのか、治療方法はあるのか知りたい方へ。子供の寝ている様子で確認してほしい点と、ほおっておけない子供の睡眠時無呼吸について解説します。

目次

子供のいびきがたまには良いですが、子供の睡眠時の無呼吸は異常です。

千葉の歯医者さんのグル―プが、歯科矯正治療の経験がない3歳から12歳に睡眠についてアンケート調査しています(参考文献1)。1146名の8割が平均睡眠時間9-10時間でした。

イビキがあると答えた人は、全体の39%で、週に3日以下と稀な場合がほとんどでした。週3日以上イビキをする人が10%、ほとんど毎日しているお子さんは5%でした。

寝ている時に息が止まっているつまり無呼吸があると答えたのは4.6%でした。大人と異なり子供は睡眠1時間あたり1回以上無呼吸があれば異常で、治療の必要があります。

息が止まっていると答えた子供では、寝相の悪さ、寝起きが悪い、落ち着きがない、鼻詰まりがある、風邪をひきやすいと答える人も多かったです。さらに扁桃腺の大きさを調べると、無呼吸停止のある子供では、口の奥の左右の扁桃腺がくっつく位に大きい子供が、有意に多い傾向にあったと報告されています。

小児の睡眠時無呼吸は大部分が扁桃腺が大きいことが原因

子供のいびきは、鼻からノドにかけて空気の通り道が狭いところで起こっています。口の突き当りにある口蓋扁桃(いわゆる扁桃腺)と、鼻の突き当りにある扁桃腺と同じ組織であるアデノイド(咽頭扁桃)が年齢的に大きくなって気道を狭くするからです。

アデノイドは2-3歳から増大し、5歳をピークに縮小していくと言われています。口蓋扁桃は4-5歳から増大し5歳から7歳をピークに大人に向かって縮小していきます。特に未就学児は空気の通り道が狭く、いびきをかきやすくなります。

体の成長と共に気道は広がり、いびきは減少し自然に良くなる場合がほとんどです。このため、子供さんのいびきは様子をみてもいいと言われてきました。しかし、通常より大きくなり過ぎであれば、いびきから無呼吸につながります。また普段の口呼吸により様々な問題が出ると言われています。

睡眠時無呼吸は、日中眠気だけでなく、落ち着きのなさ、学業成績低下を引き起こします。

どんな時に様子を見ていいか、それとも病院に受診した方がいいのか、いびき以外の症状があるかないかで判断しましょう。日中に眠そうにしている、落ち着きがない、話を聞かない、物覚えが悪いなどの症状です。

実際に睡眠のリズムが乱れている子供さんは、脳の発達が遅れている、つまりIQが低下していることがたくさんの論文で示されています。(参考文献2)

寝る子は育つというように、寝入りばなのノンレム睡眠の時に、成長ホルモンが集中して分泌され身体の成長を即すことが知られています。

成長ホルモンは脳の神経の発達にも大事であることがわかりました。成長ホルモンが、肝臓に働きかけて、インスリン様成長因子1(IGF-1)を分泌させるます。このIGF-1は骨の成長を促進し、身長を伸ばします。

その他脳の発育やIQにも関与しているホルモンと分かってきました。睡眠時無呼吸症候群に認知機能低下がある子供たちでは、IGF-1が正常に対して6割程度しか分泌されていなかったのです(参考文献3)。

5歳児の図形の模写の能力を226名に調べたところ、うまく描けなかった子供は、睡眠の規則正しい5歳児は12%でした。しかし、遅寝遅起きの5歳児では44%がうまく図形の模写ができなかったそうです。

落ち着きがないなんて、小さい子なんだから当たり前で、夜の睡眠不足のせいかなんて分からないですよね

昼間眠そうにしてたり、落ち着きがないなんてことは小さい子では結構たくさんあり、それが夜の睡眠不足によるものかは判定しづらいと思います。

そこで親御さんには、お子さんの寝ている様子を見てもらいたいと思います。寝てる間に苦しそうな息をしていたり、胸が凹んだり息が止まっているようなことがあれば、耳鼻科受診をお勧めします。

息が止まっているか心配で体を揺すって起こすことがある、なんていう場合は受診を急ぎましょう。

それでも良くわからない方は、スマホでお子さんが寝ている様子を動画にとって医師に見せましょう。この時注意することは、いびきの音はもちろんですが、呼吸の様子を上手く撮る事です。呼吸をしているかどうかは、胸やお腹の動きを見るとわかります。

お子さんの寝ている様子をネマキをはぐって、スマホで動画撮影を

ぜひ寝間着をはぐっていただいて、胸やお腹の動きが見えるように、しばらく撮ってください。その後に首の伸び具合や口を開けているかなど、口元のアップの撮影もお願いします。

特に無呼吸の出やすいレム睡眠の時に撮りましょう。眠ってから1時間後かレム睡眠が長く出る、目が覚める前の朝方の撮影がよりベターです。

耳鼻咽喉科を受診すれば、ファイバーにより鼻の突き当たりのアデノイドや扁桃腺の大きさをチェックしてくれます。小さい子ではレントゲンによっても、その大きさを推察することが可能です。

大人の検査で用いる簡易的ないびきや睡眠時無呼吸検査は、お子さんではセンサー等の問題で、信頼性が半分程度なので、一般的には行いません。

医師にスマホ動画を見せて、睡眠時無呼吸症候群の重症度を判断してもらいましょう。寝ている様子や、いびき以外の睡眠不足による症状があるかどうかで、治療が必要か判断してもらえるはずです。

参考文献1:小児の睡眠関連呼吸障害と顎顔面形態との関連性についてhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/josm/7/1/7_39/_pdf/-char/ja

参考文献2:Beebe DW : Neurobehavioral Morbidity Associated With Disordered Breathing During Sleep in Children : A Comprehensive Review. Sleep 2006 ; 29 : 1115―1134.

参考文献3:Gozal D, Sans Capdevila O, McLaughlin Crabtree V, et al : Plasma IGF―1 levels and cognitive dysfunction in children with obstructive sleep apnea. Sleep Med 2009 ; 10 : 167―173.

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