子供のいびきは手術で治る。アデノイドや扁桃腺が大きいからといわれたお母さんへ!

お子さんの睡眠時無呼吸に対する治療について説明します。大人の治療と大きく異なります。治療を行えばよく眠られるようになり健やかな成長が期待できます。塾や習い事に投資をするより、睡眠を改善すれば、確実に学習上にも良いことがあります。

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子どもの睡眠時無呼吸は発達や学習、行動面にも問題が出てくる

子どもで寝ている時に息が止まるという人の割合は1から4%と言われています。小さな子供の時から思春期までのあらゆるお子さんに起こりえますが、特に3から6歳の未就学児がとても多く見られます。

なぜなら無呼吸の原因とされる喉の突き当たりの扁桃腺(口蓋扁桃)と鼻の突き当たりの扁桃腺(アデノイド)がこの時期に一番大きくなるからです。このほかに肥満も無呼吸の原因になります。

大人の睡眠時無呼吸は日中の眠気が最も多い症状です。しかし、お子さんでは学業不振や日中落ち着きがないという症状も見られやすいです。

実際に睡眠障害国際分類の診断基準では、いびきがなくても、他動性や行動上の問題、学習上の問題が存在するだけでも無呼吸疑いとされています(参考文献1)。

お子さんの閉塞性睡眠時無呼吸で低身長や、痩せすぎを認める場合に、治療後に身長体重が正常範囲に戻ることは多くあります。発達面においても、治療後に他動性やイライラが治る子供さんも経験することが多いです。

お子さんが健やかに発達成長するために寝ているときに無呼吸があるようでしたら、病院を受診しましょう。

子どもの睡眠時無呼吸の治療はアデノイド切除と扁桃摘出術が最も効果がある

治療はアデノイドや扁桃腺を取るという物理的に気道を広げる手術が有効です。入院が1週間強必要ですが、退院の時には見違えるほど、睡眠時の呼吸が楽になってイビキはほぼなくなります。むしろ手術前のイビキがなくなり、逆に寝ているときに息をしていないのではと思うくらい、静かすぎて心配になるご両親が多くいらっしゃいます。

アメリカ小児学会の小児の睡眠時無呼吸の2012年のガイドラインでは、手術が第1選択であり、その手術による治癒率は75から100%と極めて高い数字を示しています(参考文献1)。

学業不振のある小学1年生の中で、無呼吸のある子どもを拾いあげ、手術をしたところ小学2年生時点で成績の改善があったというアメリカからの報告もあります。

小学1年生の成績が底辺一割の297名を調べ54名が睡眠時無呼吸障害とわかりました。保護者の了解の元、54名中24名に手術を行ったところ、学業成績が20%以上改善しました。手術を行わなかったのこり30名では学業成績の改善は認めなかったそうです(参考文献2)。

ただし手術治療後13-29%に治りきらない無呼吸が残る場合もあります。肥満のある子、8歳以上、重症の無呼吸症のお子さんです。

無呼吸ないし手術をする程でないけど、いびきをする他に治療はないの?

手術をする程でないけど、いびきをする他に治療はないのか、入院する時間などないという、こんな場合は薬による治療が行われます。アレルギー性鼻炎に対する効能のある、点鼻薬とロイコトリエン拮抗薬という薬を使います。

アレルギー性鼻炎を改善する効果ももちろんですが、アデノイドの縮小にも有効という報告が近年多く認められています(参考文献3)。だいたい3から4ヶ月の治療でアデノイドが縮小しているものが多いです。

ただし7歳以上や肥満のある子供たちでは薬の効果がなかったり、未就学児でも薬が効きにくい子供たちも一定割合はいます。そのため薬だけの長期の治療は今のところ考えにくく数か月行っても、改善がない場合はやはり手術が第1選択となります。

小さい頃の無呼吸は一時的ではあっても成人時にも影響する

アデノイド、口蓋扁桃肥大だけではなく、アレルギー性鼻炎などによる鼻詰まりは、口呼吸を引き起こします。結果的に上顎と下顎がなかなか成長しないことになります。骨格が変わり大人になって睡眠時無呼吸症候群を発症しやすくなるといわれています。

口呼吸が習慣になると、ベロの位置が下あごにくっついた状態がくせになります。このため上あごが発育しなくなります。さらに下顎も後ろ側に移動すると言われています。

やはり小さい時のイビキや口呼吸は、大人になってから影響を及ぼすこともあるため、積極的に治療していく、病院に行くことが大事です(参考文献4)。

参考文献1:アメリカ小児科学会編:睡眠時無呼吸の診断と治療https://pediatrics.aappublications.org/content/pediatrics/130/3/e714.full.pdf

参考文献2:Gozal D. Sleep-disordered breathing and school performance in children. Pediatrics. 1998 Sep;102(3 Pt 1):616-20. doi: 10.1542/peds.102.3.616. PMID: 9738185.

参考文献3:https://www.jstage.jst.go.jp/article/stomatopharyngology/31/1/31_39/_pdf/-char/ja

参考文献4:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/120/5/120_698/_pdf/-char/ja

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