花粉症を抑える為の市販薬アレルギー剤を医師がランキング!医学的根拠は鼻アレルギー診療ガイドライン

当記事は、アレルギー性鼻炎や花粉症に対する症状抑制効果が認められている市販薬の特集です。日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会が制定した「鼻アレルギー診療ガイドライン」 に準拠しています。

この記事を書いた人

富田雅彦:耳鼻咽喉科専門医:ドクターズファイル

めまい平衡医学会認定めまい相談医

病院に受診しないために自分で判断できるような医療知識を発信中

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富田耳鼻科クリニック@新潟県新発田市舟入町3丁目11-18-7

あなたが抗アレルギー剤選びで失敗しないで済むように医師として以下のことをどうしても先にお伝えしたいと思います。

安いからと言って d−クロルフェニラミンマレイン酸塩の含まれる薬を買ってはいけません。

目次

アレルギーに効果のある薬は抗ヒスタミン薬
市販鼻炎薬のほとんどは第一世代抗ヒスタミン薬


代表的なものは d−クロルフェニラミンマレイン酸塩というものです。

病院で処方される薬名としてはポララミンになります。ほとんどの風邪薬はこの成分が入っています。この薬は、とても眠気が出ますし口が渇きます。

この副作用を抑えるために風邪薬にはほとんどのものに無水カフェインが入っています。これにより眠気を抑えようとしているのです。

さらに子供では痙攣を誘発させるといわれています。

手元に風邪薬や鼻炎薬がある場合は、成分を見てみてください。クロルフェニラミンマレイン酸塩と無水カフェインがセットになっていると思います。 

抗ヒスタミン薬は、第1世代、鎮静性第2世代、非鎮静第2世代に分けられる。

1983年以降に発売された抗ヒスタミン薬を、第二世代の抗ヒスタミン薬といい、第一世代の副作用の少ないものをいいます。

この第二世代も実は鎮静型と非鎮静型に分かれています。第二世代の中の鎮静成分が少ないものを非鎮静性第二世代抗ヒスタミン薬と言います。

抗ヒスタミン薬が脳内に入って脳の中のヒスタミンに作用すると鎮静性が増します。そこで脳内へどれくらいこの抗ヒスタミン薬が移行するかの割合によって、鎮静性と非鎮静性に分かれます。

各種薬剤が脳内にどれだけ移行するかをMRIを使って調べたデータがあります。

鎮静性の第二世代抗ヒスタミン薬の代表的なものはケトチフェン(商品名:ザジテン)と言われ、やはりこれも通常の風邪の薬に含まれています。(参考文献↓参照)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/123/3/123_196/_pdf

病院で処方される抗アレルギー薬の成分が入っている市販薬がオススメ 

10年前には子供で使える非鎮静性抗ヒスタミン薬がなく、仕方なく非鎮静性の抗ヒスタミン薬が病院で処方されていた時期もありました。

しかし現在では、先に説明した抗ヒスタミン薬の脳内移行の概念を、大体の医師が理解しています。

そこで病院では鎮静性の第二世代抗ヒスタミン薬の処方はほとんどされていません。

お勧めの市販のアレルギー薬は、非鎮静性の抗ヒスタミンの成分が含まれているかにつきます。その結果が以下のランキングです。結論だけ先に示します。

第4位 エバステルAL(KOWA製薬)

第3位 アレジオン20 (エスエス製薬) 同率3位 ストナリニZ (佐藤製薬) コンタック鼻炎Z (グラクソ・スミスクライン)

第2位 タリオン(R)AR (田辺三菱製薬)同率2位 クラリチンEX (大正製薬)

第1位 アレグラFX  (久光製薬)

鼻アレルギー診療ガイドラインの骨子

①薬物療法では第二世代抗ヒスタミン薬かケミカルメディエーター遊離抑制薬、抗LT・TXA2等薬、鼻噴霧用ステロイド薬のいずれか一つを用いるか数種類を併用する
②第一世代抗ヒスタミン薬は治療に含まれていない
③重症の場合、必要に応じて点鼻用血管収縮薬を1から2週間に限って用いる

市販薬の一部に、ケミカルメディエーター遊離抑制薬は含まれますが、これは元々効果が弱いと考えられています。

鼻噴霧用ステロイド薬は市販されているものがあります。しかしこのタイプの鼻噴霧薬は即効性がなく数日後から効いてくるため、使用した場合に効果が実感されにくいため、万人にお勧めではありません。

結局のところ鼻アレルギー診療ガイドラインに準拠すると、第2世代抗ヒスタミン薬でかつ非鎮静性のものがオススメとなるわけです。

それでも病院に行くべき時はある。

非鎮静性の第2世代抗ヒスタミン薬は、たくさんのものがあります。

さらに市販薬の後により効果の高く副作用の少ないものもたくさん出ており、病院の処方のレベルでは、現在の市販薬の成分のものは、あまり処方されていません。

市販薬を使ってもまだ効果が上がらない場合は病院を受診して相談をするのが良いと思います。特に1日1回の製剤は多種多様にあります。

市販薬使いすぎで、病院受診が最も多いのは、点鼻薬

 鼻づまりを取るために血管収縮薬の入った点鼻薬が、かなりの種類が市販されています。

ナファゼリン塩酸塩が含まれるものです。 血管収縮薬の入った点鼻薬は、鼻アレルギー治療ガイドラインにおいて、重症の場合1から2週に限って使用可能と書かれています。
 

鼻の粘膜に直接作用して血管を収縮させことで、鼻の内部にあるヒダの体積を狭くします。

その結果、空気がよく通るようになります。即効性もあり、最初はとてもよく効くため使用する方は多いです。

ただし、血管を収縮させる効果が頻回に使っていると弱くなっていきます。そして回数を更に使うようになって、リバウンドをして使う前よりひどくなることが分かっています。

そのためガイドライン上は1-2週間の短期という縛りがあります。市販薬の効能書きには、一回の使用量は1から2回日日使用回数6回を限度として使うようにあります。

守らないと現在の症状が悪化したり副作用が起こりやすくなります長期連用しないで下さいと書かれていますがその長期がどれぐらいかは正確に書かれていません。
 

つまる前に後で詰まると嫌なので、事前に点鼻するというようなことをしていると1日6回を超えてしまいます。3時間以上開けずに、使う場合が多くなります。

こうなると、かえって効きが悪くなり鼻つまりに苦しみます。薬剤性鼻炎と言って、市販薬で効果なく却って辛くなって受診する人が多いです。

こういった場合は点鼻薬を内服薬に変え、点鼻を我慢することで一週間ぐらいで治ります。そのため点鼻薬の使用は注意が必要です。

非鎮静性第二世代抗ヒスタミン剤の市販薬全6種類

非鎮静性第二世代抗ヒスタミン剤は、一日1回と2回の二つあります。内服してから吸収され代謝される時間が長いものは1日1回で良く、短めのものは2回内服する必要があります。

ただし基本的に1日2回のものは早く効いて早く効かなくなると考えてもよいと思います。抗ヒスタミン剤は血圧の薬と違い、常に飲んでいないと効果を発揮しないわけではなく、飲んだ時に吸収され代謝されるまでの時間に効果があり、飲んでいないときは効果がないという形になります。

そのため症状のひどい時だけ飲むという方法も有効です。

エバステルAL
この薬は、通常病院で処方されている量の半量が標準量になっています。

2錠内服すれば効果を発揮します、1日2回で飲むという方法も良いと思います。ただし薬剤代が倍になってしまいます。

アレジオン20 (エスエス製薬) ストナリニZ (佐藤製薬) コンタック鼻炎Z (グラクソ・スミスクライン)
アレジオンとジルテックのOTCスイッチ剤となります。1日1回で良い薬です。

アレジオンは比較的ゆっくりとした立ち上がりとなります。

ストナリニZとコンタックZは正直1日2回内服したほうが良いくらい効果の切れる時間が早いです。ただし効き始めは早くなるので朝だけ鼻水がでると言う人には良いと思います。

タリオン(R)AR (田辺三菱製薬) クラリチンEX (大正製薬)
タリオンは1日2回の薬です。クラリチンは1日1回です。

クラリチンのほうは眠気が少ないといわれていて、毎日内服するときは忘れにくいと思います。

効果はややマイルドな印象があります。タリオンは7歳以上から内服でき小児から大人まで広く使えます。

アレグラFX  (久光製薬)(フェキソフェナジン)
1日2回の内服の薬です。最も病院でも処方されている薬だと思います。

眠気の副作用が少ないといわれており、注意力低下等、車の運転への影響もないと考えられています。1日2回の薬で、もし朝、飲み忘れたときに遅れて飲めるので使いやすいと思います。

このため初めて抗ヒスタミン剤を飲む場合にきわめてオーソドックスなため処方される割合も多くなっています。

私は、これを基準に効果や副作用をみます。患者さんが薬と合っていないと感じた場合に、アレグラと比べてどうかと考え、次に処方する抗ヒスタミン剤を決めていっています。

今年の花粉症は例年より皆さん苦しんでいる

辛いという患者さんが今年は多いです。もう少し薬がきいて欲しい、もっと強い薬はという方へ。

ズバリ薬の上乗せです.同じ薬を1.5倍量使うと効果も倍増します.特にアレグラは1.5倍量でも海外で使われていますので有用だと思います.

ただし保険診療では薬剤添付文書上認められていません.代謝の問題から肝機能を悪化させる可能性もあります

.長期服用では特に問題と思いますが1ヶ月程度なら許容範囲と思います.ただし 自己判断でお願いします.

漢方薬もオススメだし、ステロイド点鼻剤も良い

実際の病院診療では倍量投与ということは許されていませんので患者さんには勧めません。

そのため今の薬でも効かないという方には 私は上乗せで別な部分に効く漢方薬を処方します。

これはドラッグストアでも手に入りますが小青竜湯という種類のものになります。 この名前のついている漢方薬でしたらどこの製品でもほぼ似たような生薬になります。

鼻水を止める効果はもちろんのこと麻黄と言うエフェドリンが少量含まれていますので鼻の血管を収縮させ鼻閉に特に効果があります 。

酸味があって飲みづらいということが難点です。現在の抗ヒスタミン薬に合わせて飲むことができますのでベースで薬を飲みつつ辛い時に小青竜湯を上乗せ的に使うとコントロールがしやすいと思います。


その他に有用なのは点鼻薬になります。

血管収縮剤の入っている点鼻薬ではなくプロピオン酸エステルというステロイドが含まれて点鼻薬がドラッグストアでも売っております。

1日2から4回内服薬のようにさしてみると即効性はありませんが3日程度すると聞いてきますので特に症状が強い時期に続けてされることをお勧めします。 是非辛い時期を何とか乗り切ってください。

別な鎮静性第二世代抗ヒスタミン剤に変更すると効果のでることもあるので参考程度に!

非鎮静性抗ヒスタミン薬は、構造により3系統に分かれています。

構造の違うものに変えると効果が増したりする場合もあります。そのため効果は個人差があります。

自分に合う薬を探してください。ただしそれなりに初期投資が必要になります。


手っ取り早く自分に効果のある薬を見つけたい、市販薬で効果が少ないと考えた場合は、病院に受診しましょう。

その時は空き箱を持って医者に行くと、市販薬の成分をみて、別な成分の薬を処方してくれるはずです。

参考文献
1.鼻アレルギー治療ガイドライン2020:日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会

http://www.pgmarj.jp/index.php”>www.pgmarj.jp/index.php

2.谷内一彦 東北大学大学院医学系研究科機能薬理学分野

抗ヒスタミン薬の薬理学  

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/123/3/123_196/_pdf

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