今日は耳鳴りの市販薬について、お話ししたいと思います。
耳鳴りがうるさくて病院に行ったけど、年のせいと言われ薬をもらえなかった。耳鳴りの薬をもらって飲んだけど全く治らない。耳鳴りをピタッ止める薬はないのかなぁと探している。この様な方は、ぜひ最後までお読みください。
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耳鳴りについて知っておくべき事
耳鳴りの原因は完全には明らかになっていません。なので耳鳴りを完全に止めることは、現在の医学では難しいんです。だから、耳鼻科に行くと、歳のせいだからとか、耳鳴りは治らないよと言われてしまうのです。さらに薬をもらって帰ってもちっとも変わらないのです。
じゃあ、諦めて、このつらい耳鳴りに一生苦しんでいくしかないのでしょうか? いいえちがいます。
確かに耳鳴りをピタリとやめることはできません。でも、耳鳴りによる辛いことを和らげることはできます。
皆さんは、耳鳴りのせいで何が辛いですか、何が困っているでしょうか
例えば、耳鳴りのせいでよく音が聞こえなくて、人との会話がしづらい。夜布に入ったら、耳鳴りが鳴り出して、それが気になって寝れない耳鳴りがし出すと、気になってイライラして仕事が全く手につかない、物事に集中できない
このような耳鳴りによる苦痛な事はないでしょうか。耳鳴りが引き金になって自分に何か問題となっていることはないでしょうか
耳鳴りを止められません。けれども、耳鳴りに対する体の反応や苦痛を和らげることはできます。
耳鳴りが発生するメカニズムと、その耳鳴りを苦痛と感じるメカニズムは違う
病気がない方でも静かな部屋にいると耳鳴りを感じます。年を取って難聴が進行すると耳鳴りを感じる人もとても多くなります。でも耳鳴りをしている人全員が耳鳴りを気にして苦痛に思っているわけではありません。
疲れやストレス、不安などで耳鳴りを苦痛に感じるメカニズムが活発になると、耳鳴りが気になりだすんです。
アメリカの耳鳴りの治療のガイドラインではまず、耳鳴りの正しい理解が重要とされています。
耳鳴りが発生するメカニズムを知り、それは苦痛に感じるメカニズムと違うと理解することです。耳鳴りの原因として心配な病気がない、耳鳴りによって聞こえなくなってしまうことはない、これを確認することが第1のことです。
耳鳴りが始まると、このまま聞こえなくなるのではないか、何か悪い病気だろうかと不安が高まり、耳鳴りが苦痛になる場合が多いからです。
耳鳴りがして耳鼻科を受診したら歳のせいだと言われた。実はこれが治療の第1歩です。命に関わる病気ではないということがわかったはずです。まず安心しましょう。
耳鳴りに意識を向けない、苦痛に感じないようにしよう
耳鳴りを苦痛に感じるメカニズムや耳鳴りに意識を向けない方法については、こちらの記事にまとめていますので、まだ見てない方は是非ご覧ください。
実際の診察では、私は患者さんと一緒に耳鳴りに意識がいかない方法や行動を考えます。音響療法やホワイトノイズを聞いてもらう方法です。あとは耳鳴りで困っていることを一緒に考え、和らぐ方法を考えます。
例えば、先程述べた、耳鳴りのせいで人との会話がしづらいという方に関しては、積極的に補聴器を進めています。耳鳴りについて困ってることに対しては、薬を出すこともあります、耳鳴りのせいで夜眠れないということであれば、睡眠薬を処方するのです。
当院を受診した、耳鳴りの患者さんに、ここまでの様に診察と説明すると半分以上の方は、耳鳴りと共存していくことができます。耳鳴りはしているけど、苦痛ではないという状態です。
それでも気になって気になって仕方がない、なにか薬はないかという方はいらっしゃいます。そのような場合、私は漢方薬を処方しています。
西洋薬は耳鳴り治療として勧められない、でも漢方薬なら効くかも
実はアメリカの耳鳴りのガイドラインでは、内服薬、つまりのみ薬を漫然と飲むことは、耳鳴り治療として推奨されていないのです。
アメリカには漢方薬はありません。耳鳴りに西洋薬は効果が無いと学会は判断しています。でも漢方薬なら少しは効果があるかもしれません。
実際に私がよく処方する薬を5つ紹介します。
牛車腎気丸、八味地黄丸、釣藤散、柴胡加竜骨牡蛎湯、抑肝散、です。いずれも薬局で市販されている薬です。それぞれの特徴をお話しします。
牛車腎気丸、八味地黄丸
高齢の難聴のある方の耳鳴りには、牛車腎気丸と八味地黄丸を処方します。やせほそった、40代以上の人で、下半身の脱力感があって、腰痛や手足の冷えがある人に効果的です。八味地黄丸は糖尿病のある場合に特に有効で細かい血管の血行を良くする働きがあるといわれています。
釣藤散
同じ高齢者でも痩せておらず体力がふつうにある場合、釣藤散を試してもらいます。高齢者以外にも使います。耳鳴りに加えて、頭痛、肩こり、不眠がある場合に有効です。精神の安定に効果的な成分を多く含んでいます。万人向けの薬といえます。
釣藤散にも精神安定の効果がありますが、特に耳鳴りがイライラする方へは、柴胡加竜骨牡蛎湯、抑肝散を使います。
柴胡加竜骨牡蛎湯、抑肝散
最近依存性が問題視されている西洋薬の安定剤の代わりに使っています。
この二つのうち、柴胡加竜骨牡蛎湯は、難聴で困っていないけど耳鳴りでイライラする若者にも効果があり、抗ストレス薬です。抑肝散は、特に女性で、神経過敏で興奮気味で夜眠れないという方に効果があります。
皆さん、ここまで動画をみて、よしこれらの薬を試してみようと思っていませんか。でも過度に期待しないでください。
これらは、もちろん耳鳴りをゼロにする薬ではありません。そしてこれら漢方薬が効く方は、過去の研究によるとどの薬も3割くらいです。
漢方薬は自分の体質(証)と症状に合った薬が効果ある
漢方治療専門の先生が、よく患者さんの話を聞いて全身を診察して、体質を判断してその人にあった漢方薬を処方した場合、75%の耳鳴り患者さんに効果があったそうです。症状と体質が飲んだ漢方薬とマッチすれば効く場合もあるのです。
現実に皆さんが、そこまでどの漢方薬が自分の体質にあっているか判断は出来ないと思います。私も漢方専門医ではないので出来ません。
そこで耳鳴りに効果があると言われる漢方薬を色々試して見てください。その場合、1かいや2回ではなく最低2週間は試してみてください。自分の体質にあった薬にであえるかもしれません。もちろんそこまでの時間とお金がないという方は、全国に2000名いる漢方専門医を尋ねてみてください。
まとめ
耳鳴りの原因は正確には分かっていません。
耳鳴りが発生するメカニズムと耳鳴りを苦痛に感じるメカニズムは違うと推測されています。
そのため現時点で耳鳴りをゼロにする薬は存在しませんし、薬物治療もアメリカの学会のガイドラインで推奨されていません。
基本的に、耳鳴りをゼロにするのではなく、耳鳴りで引き起こされる苦痛を取る治療が、耳鳴り治療です
漢方薬のある程度は耳鳴りの苦痛を取るのに役立つかもしれないので、試してみても良いかもしれません。
耳鳴りが苦痛で苦痛で、聞こえなくなっても耳鳴りがなくなればよい。だから聞こえの神経を切断したいという方がいらっしゃいます。
でも聞こえの神経を切断しても耳鳴りは残ってしまうのです。
聞こえの神経を切断するのではなく、今回紹介した漢方薬を飲んで、ストレスを減らし体調を整えましょう。そうすれば、耳鳴りが苦痛でなくなるはずです。
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