風邪をひかないように、たくさん寝ましょう。寝不足が続いたら、疲れが溜まっったのか風邪をひいてしまいました。これらは本当でしょうか?本当です。睡眠時間が少なくなると抵抗力が落ち風邪をひきやすくなります。どれくらいの影響があるかを解説します。
睡眠不足が続くと、風邪をひきやすくなる
睡眠不足が、風邪症状を引き起こしやすいかどうかを調査した研究があります。2009年の報告です。
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/414701
健康な18から55歳までの成人のボランティア153人に、2週間睡眠時間と睡眠の質について聞き取り調査をします。
睡眠時間は、7時間未満の人が58人、7から8時間が52人、8時間以上が43人となっていました。
その後、全員に風邪を引き起こす一般的なウイルスであるライノウイルスを鼻に滴下します。
結果153人中、135人が5日後に風邪症状を引き起こしました。
睡眠時間が7時間未満の参加者は、睡眠時間が8時間以上の参加者よりも2.94倍風邪をひく可能性が高かったそうです。
日本人の7割で、睡眠時間が7時間未満と世界でも短い方
令和元年の厚労省の生活習慣調査に、日本人の睡眠時間のアンケート結果が出ています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000711008.pdf
73.7%が実に7時間未満の睡眠時間しかとっていません。これはOECDの調査によれば世界で短い方の1から2番手です。
睡眠時間 | 総数5701人 | % |
---|---|---|
5時間未満 | 503 | 8.8 |
5~6時間 | 1728 | 30.3 |
6~7時間 | 1971 | 34.6 |
7~8時間 | 1046 | 18.3 |
8時間以上 | 453 | 8.0 |
6時間より短い場合は、カゼのひきやすさは倍増する
先ほどの研究の著者のグループが2015年に追加の研究結果を発表しています。https://doi.org/10.5665/sleep.4968
164人のボランティアを集めて研究をしています。今回は2週間でなく1週間の睡眠時間調査をしています。
この時に手首に活動計をして実際の睡眠時間を計測しています。前回は聞き取り調査のみでした。
人間は聞き取り調査だと、実際の睡眠時間より長めに言う傾向があることが分かっているからです。
睡眠時間は、5時間未満の人が36人、5から6時間が54人、6から7時間が52人、7時間以上が22人となっていました。
その後は前回と同じようにライノウイルスを鼻に滴下して、風邪をひくかどうかを判定しています。
164人中124人75.6%が感染しています。
7時間以上寝ている人と比較して、6から7時間寝ている人はカゼの引きやすさは変わらなかったそうです。
5から6時間の睡眠時間の人は4.24倍風邪をひきやすく、5時間未満の睡眠では4.5倍風邪をひきやすくなっていました。
やはり睡眠時間が短いと風邪をひきやすくなっています。
睡眠時間は短くても、せめて6時間以上が風邪予防には必要と考えられます。
一体なぜ睡眠不足はカゼをひきやすくなるのか
免疫機能の低下が原因と言われています。ウイルスに感染した細胞に免疫細胞が集まり戦いウイルスを減少させていきます。
この免疫細胞は夜の早い時間に増殖して睡眠中に効果をより多く発現すると言われています。
睡眠不足になるとこの免疫細胞の数が減ると言われています。
ボランティア9名を23時から7時までの、8時間睡眠を2週間以上した直後と、3時から7時までの4時間睡眠5日間をした直後の免疫細胞数を比較した報告があります。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3859577/
1日24時間のうち、3時間毎に血液を8回取って比較しています。
8時間睡眠で夜間の23時と2時に増えていた免疫細胞が、4時間睡眠の時には増えずにいたことが分りました。
睡眠をとっている間に、病気と闘っていることがわかりました。
そして睡眠時間が長いことが重要でした。
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