鼻のカス…つまり鼻くそについて解説します。これに代わる言葉もないので仕方なく鼻くそと連呼しますが御了承ください。

鼻くそがつく理由について解説します。鼻水はでないのに、鼻の入り口や付け根が痛い人。鼻くそをほじってばかりの人。鼻の入り口の炎症、鼻前庭炎の状態になっていますよ。

目次

赤ちゃんの鼻くそは鼻水が乾燥して固まったもの

一番想像しやすいのは、鼻水が乾燥して鼻の入口で固まっているものです。特に生まれたての赤ちゃんの鼻くそはほぼこれによります。

実際生後77日目から5ヶ月目までの、128人の赤ちゃんの鼻の中をファイバースコープで観察し鼻くそを調べた報告があります。

鼻くそが付いていなかったのは11人のみで、ハナクソが認められたすべての子どもに鼻水や後鼻漏が観察されていました。統計的に処理をすると鼻くそと鼻水は密に関連していることがわかりました。参考文献

ちなみに84%の赤ちゃんの鼻の突き当たりの空間が、まだ十分に発育していませんでした。幼児と異なり新生児では鼻の入り口のみならず、鼻の奥も狭いことがわかりました。このため、少しの鼻水が増えただけでも簡単に鼻の奥で鼻水が溜まり、赤ちゃんは鼻が詰まりやすいのです。

当院ではシリコンゴム製のソフトな吸引管で重点的に鼻の奥の鼻水を吸引しています。

鼻の奥の鼻水を取れるだけでも、睡眠やミルクの飲みが改善され、さらに泣き声も明るく響くようになります。

鼻は外気のホコリを取り除くフィルターだから汚れる

鼻の大事な機能は、空気中のホコリを除去するフィルターの役目です。

古い実験ですが、石膏で鼻の中を再現した模型を作り、埃を吸わせどれだけのホコリが除去されるか調べた研究があります。この模型ではホコリの除去率は約40%でした。さらに同じホコリを石膏モデルと同じ条件下で実際の人間に吸入させています。数は少ないですが、正常成人10名のホコリの除去率は平均33.2パーセントでした。参考文献2

空気が吸い込まれる時に最も影響を受けやすいのは鼻の入り口です。汚れた空気の場所で生活すると鼻毛が黒くなったり、鼻毛が早く伸びるということはよく経験すると思います。

実際、鼻の粘膜を東京の河川敷の小学校と日光の山の中の小学校の生徒達を調べた研究があります。鼻の入り口の汚染がなかった生徒数は、都内の小学校で20%、日光の小学校では91.7%でした。参考文献3

空気がきれいであれば、鼻くそがつきにくいことは明らかなのです。 

大人の鼻くそは鼻の入り口の炎症部分で作られる

呼吸により鼻の中では常に炎症が起こっていることがわかっています。炎症細胞や細菌が鼻の入り口に多く溜まっているのです。

死体(献体)の鼻の粘膜を取り出した研究があります。表面が正常の状態を示していた鼻の粘膜でも、全ての献体で鼻の粘膜下には炎症細胞が多く認められていたそうです。また鼻症状のない成人の鼻の粘膜表面を擦って粘膜上皮を調べた研究でも、炎症性の上皮や炎症で増えてくる細胞、細菌がたくさん認められています。参考文献3

ホコリの分子や細菌は、鼻の粘膜に付着し、その部分で多少の炎症を起させています。鼻の入り口でホコリは除去され、炎症とともに鼻くそが作られているのです。

鼻をいじることで鼻くそが増えてしまう

赤ちゃんの鼻くそは、鼻水が固まったものと言いましたが、大人の場合は違います。大人の場合、鼻水がでると鼻をかんだり、ススったりするので、入り口には固まりにくいからです。

よく鼻の付け根や、鼻の膨らんでいる部分が痛いと耳鼻科を受診される方がいらっしゃいます。蓄膿症が心配と来られますが、鼻の中はいたってきれい。『でもよく鼻をかむんです』とおっしゃいます。よくよく話を聞くと鼻をかむというよりは鼻を拭うことが多いようです。その理由は、鼻の入り口にカスが付いて、それをどうしても掃除をしないと鼻が詰まると言うのです。

結論から言うと、これは鼻をいじりすぎることによる炎症です。鼻の入ってすぐの鼻毛の部分や少し奥の部分(鼻前庭)の粘膜の炎症が考えられます。

鼻の奥の方には鼻水はなく鼻づまりもありません。全て鼻の入り口だけの炎症です。鼻の出っ張っている部分の感覚神経は目の内側、鼻の付け根から伸びています。このため鼻の入り口の粘膜が傷つくと鼻の付け根が痛むという方も多いのです。 

鼻をいじっておこる鼻前庭炎が鼻くその原因

皆さん、鼻をかんだ後、鼻水を拭き取ったあと無意識に鼻の穴に指をいれて、入り口などを掃除しませんか?

鼻毛を抜いたり、鼻の入り口についた鼻くそをお掃除するのに一生懸命になり、鼻の中の粘膜を擦りすぎていませんか?

粘膜が剥けすぎて、かさぶたがつく。それが気になるので、また剥がしてしまう。再生してきた粘膜上皮をまた削り元に戻るというのを繰り返しているのです。これが鼻前庭炎です。

鼻前庭炎の62人の鼻の入口の細菌を調べた研究があります。(参考文献4)鼻前庭炎の発症時期は7から9月にかけては少なく、1から5月にかけてが多く発症していました。この時期は花粉症や風邪などで鼻をいじることが多くなる時期と考えられます。

また鼻前庭の炎症部分の細菌は、鼻水や副鼻腔炎(蓄膿症)から検出される細菌とは異なりました。赤ちゃんと異なり大人の鼻くそは鼻水が固まったものでなく、鼻の中に常にいる細菌が、鼻を触る刺激で増殖して、炎症を引き起こしているのです。

鼻くそほじりをやめて軟膏をぬろう

鼻前庭炎の治療は、鼻くそを取らないことです。代わりに軟膏をつければ数日でなおります。鼻いじりからの悪循環を断ち切る、鼻水がなければ鼻かむこともないわけですから、鼻くそいじりをやめましょう。

どれくらいの人が鼻くそをほじるのでしょうか。鼻くその研究でノーベル賞のパロディであるイグノーベル賞を2001年に受賞した研究を紹介します。(参考文献5

アメリカの200人の思春期の青少年を調べています。200人ほぼ全員が、鼻ほじりをしていました。1日4回が一番多い頻度でした。鼻ほじりを一生懸命しすぎて、25%で鼻血が出た経験をしています。半数以上は鼻のつまりを取り除くため、または不快感やかゆみを和らげるために行っていたそうです。

この研究者は、成人も調べています。アメリカの1000人の成人にアンケートを郵送し、匿名の回答を集めました。254人が回答しましたが、実に91%が現在鼻をいじることが多いと答えています。

結構皆さん鼻の掃除を一生懸命していますね。やりすぎは禁物です。鼻水もでないのに鼻の周りが痛いとか、鼻くそが多くなったというときは、1週間はなくそほじりを禁止してみると良いかもしれません。

鼻くそ:鼻前庭炎、鼻前庭湿疹

人間は、汚れた外気を鼻の入り口で除去している。
汚れた外気が、鼻の入り口で炎症を引き起こし、鼻くそができる。
鼻をいじりすぎると、炎症が強くなり鼻くそも増える。
鼻くそをほじりすぎると痛くなるので、ほどほどに。
シェア頂けると嬉しいです!お願いします!
URLをコピーする
URLをコピーしました!

コメント

コメントする

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

目次
閉じる