耳がつまる、もわっとする、ふさがった感じがする方へ。可能性の高い3つの病気を解説します。

急に耳が詰まる感じがしてきた。山の上に行って降りてきたときに詰まる感じに似ている。

でも唾液をのんでも治らず、違和感が続く。

こんな時に自分で判断できるように3つの病気を解説します。

この記事を書いた人

富田雅彦:耳鼻咽喉科専門医:ドクターズファイル

めまい平衡医学会認定めまい相談医

病院に受診しないために自分で判断できるような医療知識を発信中

YouTube:耳鼻科医富田のいいみみチャンネル

富田耳鼻科クリニック@新潟県新発田市舟入町3丁目11-18-7

目次

耳垢が詰まって耳栓の様になっている

最も可能性の高いものはミミアカです。

普通は耳掃除はしなくても耳垢はたまりません。

しかし、耳の穴の耳垢を外にだす機能が年齢とともに衰えると耳垢が出てこないで奥に固まります。

また、耳かきをしすぎて、手前にある耳垢を奥まで押し込んでしまい、固まった場合に詰まってしまう場合があります。

耳掃除の後に聞こえが悪くなったけど痛みはない。

お風呂上がりに耳がこもった感じがする。1日の中で良くなる時と悪くなる時がある。

こういった場合は、耳垢が奥に固まって耳栓となっている可能性があります。

充満している状態ですので、自分で耳掃除をしても耳閉感が解消することはありません。

耳の穴の中を家族や友人に見てもらいましょう。

茶色から黒の耳栓がみえれば耳垢です。

耳介といわれる耳自体を上後ろに引っ張ると、耳の穴から奥が見えやすくなります。

スマホのライトなどで照らしてみてもらいましょう。

耳垢が固まったものは、耳鼻科を受診して、そうじしてもらいましょう。

つまり感の原因は低い音が聞こえにくくなっていたからだった

2つ目は、急性低音障害型感音難聴(ALHL)です。突然発症します。

急に低音だけ聞こえにくくなります。

人の話し声の周波数である中音域の音は正常に聞こえるため、会話には不自由しません。

そのため難聴だと思わず、むしろ耳が詰まった感じの症状が目立ちます。

150人のこの病気の報告では実に136人、90%以上の人が耳の詰まり感を訴え病院を初診しています。

そして難聴の自覚のあった人は75%でした(参考文献:1)。

 モーター音のようなブーンとした低い音の耳鳴りがするとおっしゃる方もいます。

発症する数は、人口10万人当たり50人から60人と推定されています。

当院では日に1人はこの病気と診断される患者さんがいます。

原因ははっきりとわかっていません。

ただし、繰り返す人やめまいを伴う人は、耳の奥の内耳のむくみ(内リンパ水腫と言われる)が原因と考えられています。

内耳には、聞こえの神経細胞だけでなく三半規管などバランスを司る部分もあります。

このため内耳のむくみの時に、耳閉感と同時にめまいも感じる人も多いのです。

ストレスやホルモンバランスの乱れによりむくみが出やすいため、20から40歳代に多く、特に女性に多く認められます。

1日の中でも、耳のつまり感に変化が認められますが、短くても数時間は続きます。

自然に治る場合もありますが、3日間改善がない場合は、病院で聞こえの検査をしてもらう必要があります。

治療により8割以上で改善が認められますので早めに病院を受診しましょう。

数年の間に繰り返したり、めまいを繰り返す場合は治りにくくなります。(参考文献:2) 

自分の声が響いて聞こえますか?横になるとつまり感がなくなりますか?確認してみましょう

最後の一つは耳管開放症です。

鼻の奥と耳の奥をつないでいる管が耳管です。これが常に開放している状態です。

耳のつまり感に加えて、自分の声が響いて聞こえるという自声強調があれば耳管開放症との可能性が高いです。

さらに、特徴的なことは、寝るつまり横になると耳のつまりや自声強調の症状がなくなります。

耳管は鼓膜の表と裏の空間の圧力調整を行っています。

耳管が常に開放していると、自分の出した声は、口の中から鼻をとおり鼓膜の裏側を揺らします。

このため自声強調の症状が出ます。

横になると鼻の奥の血流が増え耳管の壁が膨らみ耳管が閉塞します。このため症状が和らぐのです。

朝起きた直後は、耳管壁のむくみがあり、耳のつまり感を感じません。

立ち仕事の人が長く立っていると下半身に体液が重力で落ちてきて、鼻の奥のむくみが減り耳管が開放します。

このため仕事中の昼休み前や夕方の仕事終わりに高頻度で耳のつまり感や自分の声が響く感じが出てきます。

ダイエットや病気をして体重が急激に減った人、マラソンが趣味や激しい運動で体脂肪が少ない人にも多く耳管開放症が発症します。

耳管開放症の症状が出る人は人口の5%もいると考えられています。

この病気はなかなか良い薬はなく、症状が強く出た場合は横になって症状を和らげるという対応が主体になります。

また水分を多くとって体の血流を増やすことも予防になります。

首を圧迫して、頭部からの静脈を狭くして、耳の奥をうっ血させて耳管開放を抑えるという方法もあります。

つまり男性であればネクタイを強く巻く、女性であればスカーフを巻いて首を閉めるようにするといった方法です。(参考文献3ー4

病院に行かなくても診断はできますので、上記に当てはまるか確認してみましょう。

まとめ ①耳管開放症を除外 ②耳垢がないかチェック ③難聴を除外

耳が詰まった感じが出た場合、自分の声が響くかどうか確認してみましょう。

自声強調があれば、横になった時に症状がなくなるか確認しましょう。

なくなる場合は耳管開放症の可能性が高いと思います。

特に小さい頃に中耳炎によくなっていたという方はこの病気を発症する可能性も高くなります。

耳掃除をしたら聞こえが悪くなったとか、お風呂上がりに聞こえが悪くなった場合は、耳垢があるか、お友達や家族に耳の穴の中をのぞいてもらいましょう。

この時耳自体を後ろ上に引き上げると耳の穴が奥まで見やすくなります。

スマホの懐中電灯の機能で照らして中を見てみてください。

耳垢が黒く溜まっているようでしたら耳鼻科を受診して掃除してもらいましょう。

以上の二つに当てはまらない場合は知らずに難聴が起こっている可能性があります。

2から3日で治らない場合は耳鼻科を受診してください。

急性低音障害型感音難聴は、治療開始が早ければ早いほど治る割合が高いと言われています。

耳のつまり感を放置せず耳鼻科を受診しましょう。 

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