睡眠時無呼吸は鼻呼吸を無視してはいけません。今後は睡眠時無呼吸はCPAP一辺倒ではなく、他の治療も始まるかも

この記事を書いた人
富田耳鼻科@新発田市

富田雅彦:耳鼻科クリニックの医師です。
富田耳鼻科クリニック@新潟県新発田市舟入町3丁目11-18-7

富田耳鼻科@新発田市をフォローする

CPAP治療を受けている方へ、CPAPがつらい、ずっと続けなければならないかにお答えします。

古いガイドラインですが、厚生労働省班研究の睡眠時無呼吸に対する医療における政策医療ネットワークのための医療機関連携のガイドラインによると、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の経鼻持続陽圧呼吸療法(CPAP)治療の前の前提条件として

①鼻づまりの治療が必要また

②肥満があれば減量、特に20歳代の体重より10 kg 以上太った場合と明記されています。

肥満が睡眠時無呼吸を、睡眠時無呼吸が肥満を増長する悪循環

 肥満になると⇒睡眠不足がありますので、食生活が変化し、夜間の睡眠前にご飯を食べたり、過食気味になります。そうすると腸内細菌叢が変化して、エネルギーがますます使われなくなります。食欲を増加させるホルモンがますます分泌されます。睡眠不足⇒肥満になるという悪循環を引き起こします。

 したがって、減量することが閉塞性睡眠時無呼吸の治療に極めて有効です。694名の成人男性を4年間観察した研究では、10%体重が増えると無呼吸の程度を表す睡眠時無呼吸指数が32%増加することがわかりました。もし10%を体重を減らすことができれば、睡眠時の無呼吸指数を3/4まで減らすことができました。そして2割体重を減らせば、睡眠時無呼吸指数は半分にすることができるという予測が立てられています。

ダイエットがうまくいかなくても筋肉をつけるだけでも良い

 生活習慣を改善することにより、減量する方法は、色々言われているものにお任せします。有酸素運動を多くして、筋トレで筋力を増やせば、体重が減らなくても、睡眠時無呼吸の改善に役立つということは言われています。特に筋トレで呼吸するための筋肉を鍛えましょう。呼吸筋強化で肺活量が増加すれば体重が減っていなくても睡眠時無呼吸が改善する報告があります。肺活量が増えると睡眠中のノドの空間が広がりやすくなるからです。

鼻閉は睡眠の質を悪化させる

 鼻詰まりや中等度以上の鼻炎は、睡眠の質を悪化させるという研究があります。日中の眠気も悪化させます。鼻症状のうち、鼻水より鼻閉が一番睡眠の質に影響を与えています。アレルギー性鼻炎に伴う鼻づまりがあると中等症以上の睡眠時無呼吸になる確率が1.8倍アップするそうです。 なぜかというと、鼻が詰まることによって口呼吸が起こります。そうすると舌の根元の舌根の部分が背中側に落ちて、口からの空気の通り道が狭くなるのです。睡眠時のファイバーで空気の通り道を見る検査でこれが観察されます。口呼吸は鼻呼吸に比べてノドを狭くするためイビキをかく可能性が高まるのです。

  鼻治療を行うことが、イビキや睡眠時無呼吸の改善に役立つことが言えます。これ以外にもCPAPを行っている人の場合、鼻つまりがあると、睡眠中にかかる鼻への圧力が増加するため、治療中の違和感が増えます。長く治療ができないということになります。この場合も鼻治療が大事になるわけです。

経鼻持続陽圧呼吸療法 nCPAP(ネーザルシーパップ)とは

1981年に報告されて始まった治療です。鼻からノドまでに持続的に陽圧の圧力をかけてステントの容量で空間を広げます。 2019年のアメリカ睡眠学会の睡眠時無呼吸治療に対するガイドラインにも以下のように示されています 。

 ①CPAP は OSA 治療の第一選択
 ②眠気のある症例に強く推奨
 ③睡眠関連の (生活の質)QOL の低下がある症例は推奨
 ④高血圧の合併症例の使用は推奨
 ⑤ひと晩に4時間以上の使用が必要

注意しなければいけない点は、4時間使えばいいとか、4時間寝ればいい、というものではありません。つまり睡眠時間を4時間にすれば良いということでありません。

CPAPを続けるのに重要なことは、病気と治療を自分で理解すること

CPAP 導入前に文章による資料の提供ビデオの視聴また対面での教育を行うことが重要 とガイドラインでも示されています。特にOSAはどんな病態か。放置するとどうなるか。治療法には何が含まれるか。CPAP 治療はどのような利点があるか。を医療側が説明するようにと書かれているのです。この説明を行った場合と行わなかった場合を比較した研究もあります。説明を行わなかった場合に、ひと晩あたりのCPAP使用時間が1時間減ったという報告です。 CPAPを行っている皆さんは、自分がどうしてこの治療をしなければいけないかということを自分が理解することが大事になります。 

睡眠時無呼吸に対するCPAP治療前チェック 皆さんは理解していますか?

OSAという疾患に罹患していることを認識していますか?
なぜ発症しているのかを理解していますか?
治療の必要性や合併症を理解していますか?
他の治療ではなく、CPAP治療が今の適応となる理由を納得していますか?

これらの説明をしてくれない医者は、変えたほうが良いと思います。教えてもらってもよくわからないという場合も、親切丁寧な睡眠医療に理解の深い医師に変更しましょう。病院を毎月通うに少し不自由なので変えたいと申し出てみましょう。紹介状を書いてくれると思います。

あなたのCPAPで加温加湿器を利用していますか?業者の持ち出しになるので、勧めていない悪徳業者もあるので注意

   CPAP 使用時の空気は、鼻の粘膜での加湿や加温が不十分です。 そのためCPAP についてる加温加湿機能は積極的に使用するべきです。冬の間の結露の対策にも有効です。 業者サイドの事情として、加湿加温機能をつけても機械のレンタル代は変わらず業者側の出費となります。そのため積極的に勧めていない業者もあります。医師から強く推奨してもらうように、診察の時に先生にお話ししてみてください。 水の入れ替えなどのメンテナンスが苦にならない人にお勧めします 。変えてくれない業者は、業者自体を替えてしまいましょう。業者との契約により動いてくれない医者も変えましょう。毎日長年の治療ですので我慢せずに変更しましょう。

CPAP を使用している時に、息の吐きにくさを感じる場合はありませんか?

こういう場合は、空気を吐いた時にCPAP の圧を少し弱めるという、圧リリーフ機能を使用すると良いでしょう。吐きにくいということは、目が覚める時の症状です。圧リリーフ機能は、寝つきを良くする効果があります 。ただし多数の症例数を調べたメタ解析では、特に圧リリーフ機能の有用性は示されていないので、感じ方の問題かもしれませんので、絶対ではありません。

CPAP の治療中の2大副作用は、ゲップとマスクの違和感

  睡眠中に空気を飲み込むことによって、ゲップが出たりお腹の中が空気で満杯になる人がいます。口呼吸になると舌の根元が後ろに下がるため、CPAP の空気の流れが肺に行かないで背中側にある食道の方に回るのです。そのため胃まで空気が入っていくのです。口にテープを貼って、口が開かないようにするという対応が必要です。 

  マスクが気になって眠れないという方も多いです。こういう場合は、短時間装用でマスクに徐々に慣れていくか、いろんな種類のマスクを試してみるということもいいかもしれません。さらに前述の圧リリーフ機能の使用も考えましょう。後は睡眠導入剤を飲んで寝て、入眠までの部分を薬で補助してあげるということもできます。何度も目が覚めてしまう場合は睡眠薬を併用するのも有用ですので、担当医に聞いてみてください。

体位療法の機械が開発中で、CPAPの補助となる、もしくはCPAPが必要なくなるかも 

  OSAやイビキは、舌の根元が重力で背中側に落ちると発生するため、仰向けで寝ることが一番悪いのは周知の事実です。横向きで寝ているときと、仰向けで寝ているときを比べた結果、無呼吸の指数が2倍違っていました。この研究を解析すると、約6割の人は、寝ているときの体位によって睡眠時無呼吸の指数が変化していました 。特に太っていない人、日中の眠気の少ない人つまり中等症や軽症の人に多く重症の人は少な目でした。 このうちの3割の人は、横向きに眠ると無呼吸指数が正常値の5未満になっていました 。

  現在この横向きに寝るためにできる事は抱き枕ぐらいしかありません。現在アメリカではこの体位療法を行える装置を何個か開発中です。これが近いうちに実用化されて、日本に入って来ればよいですね。アジア人は欧米人よりも、体位による睡眠時無呼吸の患者さんが多いのです。つまり横向きに寝るだけで良くなる人の割合が多いのです。もしかして今の CPAP の治療を離脱できる人も増えるかもしれません。

まとめ:CPAPがうまくいかないなら医者や業者を代えてみましょう

鼻つまりの治療をしてくれる医師がベター

肥満を解消しよう、せめて筋トレを

CPAPの使用法や副作用に親身になって説明や改善方法を提案してくれる病院に代えよう

CPAPの加湿加温機を勧めてくれる業者が基本

体位療法の機械が使えるようになるまでダイエットを続けよう

タイトルとURLをコピーしました