コロナウイルス感染前の味覚障害は風味障害かもしれません。

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風邪をひくと食べ物の味が変わると言われています

 最近はコロナウイルス感染症の咳や鼻水などの上気道炎症状がでる 前に匂いがわからなくなった味がわからなくなったという症状が出る場合があると言われています。イタリアでの調査ですが、新型コロナウイルス感染症からの回復者204名に、質問票、電話、インタビューで前駆症状について回答してもらったところ、約半数に嗅覚障害と味覚障害が認められています。特に嗅覚障害が出現した日数で一番多いのがコロナウイルス感染症と診断される4日前だそうです。このとき鼻炎症状は伴っていないため、感覚細胞の分布する粘膜にウイルスが直接的に攻撃していると言われています。

2020年末発表の和歌山県の調査では、コロナウイルス陽性者の中で最初に味覚障害、嗅覚障害が出た人は5%程度でした。その後35%に症状が出現しています。

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最も辛い事に、コロナウイルス感染症の後遺症の人が約半数に見られ、若年者でも多く存在しています。その中で嗅覚障害が割合が多く、倦怠感も多数出ています。

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味覚障害というよりは風味障害

  ウイルス感染による味覚障害は、味覚自体が鈍くなっているという事も少なからずありますが、それよりむしろ鼻の匂いを感じる嗅粘膜の炎症による嗅覚障害がより重要です。つまり臭いの細胞が減って嗅覚障害が起こり、これにより食べ物の風味が障害されているのではないかと考えられます。日本でのコロナウイルス感染症で味覚障害を訴えた人4名の味覚検査をしたところ、全例でほぼ正常であり嗅覚検査は嗅覚脱失の状態だったそうです。 

風味は味覚の他の色々な感覚で感じている

  食べ物の味といった場合、多くの人は舌で感じている感覚と思っています。しかし風味は舌で感じる味覚の他に、匂い、食物の色、かたち、温度、また食べた時の音、舌触りなどの様々な要素を複合した感覚です。舌で感じる味覚は、甘味、塩味、酸味、苦味の4つの味しかありません。一方で鼻で感じる匂いは、香料として使われているものだけでも800種類はあります。このように食べ物に特有な風味の多くは、味覚よりむしろ臭いによって特徴づけられています。

 例えば目を閉じて鼻をつまんでみてください。その状態でバニラとチョコレートのアイスクリームを食べてみましょう。実際のところ両者を区別できなくなります。つまり舌で感じているのは、アイスクリームの甘味だけであり、バニラとチョコレートを区別するのは臭いなのです。

 味覚障害の半数以上で亜鉛を補充すると改善する可能性がある

 味覚障害の原因で考えられているものは、亜鉛欠乏です。亜鉛は舌の味を感じる細胞である味蕾の栄養分です。舌の細胞は新陳代謝が非常に早く、4週間程度で生まれ変わります。そのため体内の亜鉛が不足すると真っ先に味の細胞がダメージを受けるのです。ある大学病院の味覚障害の外来で原因を調べた結果、亜鉛欠乏が直接の原因であったものが36%、内服している薬剤の副作用によるものが16%、全身の疾患によるものが13%という結果でした。薬剤の副作用は、薬が亜鉛の吸収を障害するのが原因とされていますし、糖尿病や消化器疾患などの全身性疾患では、亜鉛の吸収障害や排泄更新を認めているため、これらの原因でも亜鉛補充療法をやってみる価値があります。つまり味覚障害の半数以上で亜鉛を補充する治療を行ってみても良いと思います。

味覚障害の場合、食べ物だけで亜鉛を補充することは厳しい

 亜鉛が一番多く含まれる食材は、牡蠣です。その他レバーやビーフジャーキー、粉チーズなどにも多く含まれます。赤身肉が肉では多めでしょう。市販のサプリメントでは10-15mgを一日量として補充できます。これを牡蠣で補充するとすると100mg必要ですが毎日牡蠣は食べれませんよね。病院で一般的に処方される亜鉛製剤は34mgですので、牡蠣200mg分、サプリメントよりも多いものです。低下して味覚障害が発症している場合は、血液の亜鉛値をみて薬剤で補充するのが一番早いです。

半数くらいは1-2か月補充すると改善してくる

 一人暮らしの男子大学生が夏休みに実家に帰ってきて、味がしないと受診されました。自炊生活していたといっていましたが、白米と一品なんて食事だったようです。案の定亜鉛値が低下しており、亜鉛補充治療を開始しました。もちろん薬以上に自宅でのご両親の愛情のこもった手料理によるものがよかったのか、夏休みの2か月を終え、2学期が始まるころには改善して一人暮らしに戻っていかれました。半数の方は2か月程度で味覚の改善を自覚しています。3から6か月以上で正常に戻る人も多く半年程度は補充する必要があります。また高齢者や味覚障害を感じてから半年以上経過している方はこの補充によっても味覚が戻らない場合も多くみられます。

亜鉛欠乏以外の味覚障害は多彩

  高齢で味覚が鈍くなってきた場合、口の渇きが原因の場合もよくあります。唾液が減ることで味の物質が舌表面に滞在せずに流れ出る、粘膜の乾燥のため舌表面の味の細胞である味蕾が減ってしまう、加齢により細胞数の減少がみられます。歯科治療も唾液減少予防に必要です。噛む機能を維持することは口の渇き防止に関係しています。流動食ばかりを食べているラットとでは通常食を食べているラットと比べ明らかに、唾液を作る細胞である、耳下腺、顎下腺の細胞が萎縮することが報告されています。噛む機能を使わないと、唾液が出づらくなってくることが、ラットの実験で確認されているわけです。

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