喉がつっかえる感じがして、自分はもしかしてガンではないかと心配になりませんか。人間ドックを受けているけど、それで十分かしら。その悩みにお答えしていきます。
食道がんって消化器科ではないのと思われる方も多いと思います。
実は頚部食道は食道の一番上、ノド側、首側なので、耳鼻科と消化器科の境界の領域なんです。耳鼻科は頭頸部外科といって、首や顔、つまり鎖骨の上から頭まで、脳と目以外のがんの治療を行なっています。
私も、数年前に開業するまで、頭頸部のガンの治療を総合病院で行っていましたし、頸部食道の内視鏡手術にも携わっていました。
頸部食道ガンで注意する症状は、食べ物の喉のつかえ感と体重減少
食道はノド仏の下から胃までの25cmの食べ物の管です。そのうち頚部食道は喉仏のすぐ下から鎖骨までの5cmの部分です。
呼吸をしている時は頸部食道はつぶれています。のどぼとけが上に上がると同時に、頸部食道の入口の筋肉が緩んで、食べ物が食道胃まで落ちていきます。
ここにデキモノができると、飲み込んだ時に、食道の入口が広がりづらくなるため、食べ物がつっかえます。特に食事の時にその症状が強く出ます。時々唾をのんだ時にだけ引っ掛かるというものとは違います。水分などはデキモノがあっても隙間から落ちていくので、ひっかかりは感じにくいです。
早期がんの場合は粘膜の色彩や表面の変化のみで、頸部食道が狭くはなりません。そのため自覚症状はほとんどありません。それでもいつも同じ場所がしみる感じがする。特に食事の時に強く感じる。冷たい水や熱いお茶を飲み込むときにはいつも前頸部の同じ場所がしみるという方は病院を受診しましょう。
本当に食べ物が食べられなくなると。自分では食べているつもりでも体重が減っていきます。ここ一二か月で急に体重が減った。特にダイエットもしていないのに体重が減っているこのような方も。病院を受診した方が良いと思います。
それでは、特に食道がんになりやすい人はどのような人でしょうか?
なりやすい人はお酒をたくさん飲んで、タバコを吸う人
明らかに悪いものはタバコ、そして。お酒です。
食道癌に限らず、あらゆるがんのリスクファクターになっています。
お酒は、1日1から2合程度であれば、食道がんのリスクは1.数倍程度といわれています。しかし一日2号合以上飲む人は、飲まない人の3.7倍、大量の飲酒では6.4倍まで食道がんの死亡リスクが高まります。
つまり同じお酒を飲む人でも、大量に飲む人は食道がんになりやすいと言えます。
じゃあ少しの飲酒なら良いのかと思われる方もいると思います。お酒を飲んですぐに赤くなる人は少しの飲酒もやめた方が良いです。
特に注意するべき人は、お酒を飲んですぐ赤くなる人
食道がんや頭頸部がんのリスクが最も高いのは、フラッシャーといわれるお酒を飲んですぐ赤くなる人なんです。
食道がんのリスクが4から12倍になることがわかっています。
フラッシャーと言われる人は、お酒を酢酸に分解する酵素の働きが遺伝子変異で弱い人です。
アルコールの分解が遅いので、少量の飲酒で赤くなりやすい体質なのです。
この酵素が全く働かない人も日本人の10%います。この10%の人はお酒を一口でも飲むと気持ち悪くなるのでそもそも飲酒の習慣がありません。
この10%の人と違い、フラッシャーは少しだけ酵素が働くので要注意です。昔はほとんど飲めなかったけど、今は飲めるようになったという人です。日本人の30%をしめます。
いまではなく、飲酒を始めた1から2年の時を思い出してください。この頃にコップ一杯のビールで顔がすぐに赤くなった方はこの酵素の働きが遺伝的に弱いフラッシャーの方です。
こういう方は付き合いでお酒を飲むことも避けて、お酒を飲まないようにするのが食道がんの予防には良いと思います。
自分がフラッシャーかもしれないけど、お酒を飲むのも好きだしお酒はやめたくないという人はどうすればいいのでしょうか?
野菜や果物をいっぱい食べる人は食道がんのリスクが4割下がるということがわかっています。積極的に野菜や果物を摂りましょう。
診断には胃カメラが超重要
そして早期発見が第一です。胃カメラを最低年一回定期的に受けてください。
人間ドックをしているから安心とは言えません。バリウムを飲んでレントゲンを撮る検査が人間ドックでは、胃がんや食道がんの検診として行なわれています。
食道粘膜の色彩だけが変化する早期がんではバリウムの検査では診断できません。胃カメラよりバリウム検査の精度が低いということはすべての医師が知っています。
一年一回人間ドッグでバリウム検査をするよりも定期的に胃カメラを飲んで食道の病気をみてもらいましょう。
以上頸部食道がんについて説明をしました。
まとめ
頸部食道ガンで注意する症状は、食べ物や熱いものが喉に染みる感じ。体重減少があれば迷わず病院へ行きましょう。
ガンになりやすい人はお酒をたくさん飲んで、タバコを吸う人です。
その中でも特に注意するべき人は、お酒を飲んですぐ赤くなる人です。お酒を飲んですぐに赤くならないというかたでも、昔は弱かった人こそ要注意です。
そのような方は禁酒をしましょう、無理ならば胃カメラを定期的に飲んで早期発見に努めましょう。
胃カメラを飲むのはきついですよね。わたしもきらいです。
食道胃がんは早期発見なら内視鏡で短期の治療で完治します。症状が出てからの進行がんでは手術や放射線治療となり、長い辛い治療になります。
少々のつらさで早期発見できれば後が楽ですので、お酒を飲む方は是非胃カメラを定期的に受けましょう。
参考文献
喫煙と飲酒の食道がんのリスク
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/15/Supplement_II/15_Supplement_II_S212/_pdf/-char/en
アルコール分解酵素と頭頸部ガン
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/119/3/119_222/_pdf
コメント
コメント一覧 (2件)
写真クラブの講師が「喉頭がんステージ2」になり、がんセンター病院に入院しました。
1月22日入院。2月3日外泊許可。3月12日退院予定。
開業医さんが紹介状を書き、どこその病院に行きなさいと言うときは、お医者さんの頭の中では、紹介先の病院の治療実績や、ピーポイントに照射する設備があるなど、
なにを判断基準にしているのですか?
ステージ2であれば高確率で根治すると思いますが、ご心配ですね。紹介先でどのような治療になるかはいつも想像しております。当地区のような田舎では、紹介先も数施設かつ同門です。集まりなどで情報交換を積極的にして、その病院の担当医や治療内容を把握するようにしています。そうするとどの病院にこの場合は紹介しようと考え選んで紹介しています。一般的な疾患で同列の場合は患者さんの通いやすさなどを重視しております。