コロナワクチン3回目を希望者全員に無料で行うことを政府は決定しました。3回目を打ったほうが良いのかなあ?また副反応がでるかと思うと怖いですよね。イスラエルやアメリカなどが先行している3回目接種の限られた情報となりますが紹介します。3回目注射を納得して受けるかどうか判断しましょう。
めまい平衡医学会認定めまい相談医
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ウイルス中和抗体が接種後半年でピークの3.9倍まで減少する
ファイザーワクチンは2回目の予防接種を受けてから、1から2週間後に最も中和抗体が高くなります 。
この時点で、予防効果が最大となります。2回目接種後1から2週間です。
ワクチン接種を受けたイスラエル医療従事者4868人の中和抗体のレベルを月一回採血し、半年間でどれくらい低下したかを調べた報告があります。(2021年10月6日発表)
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2114583
中和抗体は、最初の3か月位までは急速に減少し,その後は比較的緩やかに減少していました。
女性より男性の方が大幅に低下していました。図に示すように65歳以上の人は、18から45歳未満の人よりも平均値で58%まで低くなっていました。
免疫療法を受けている人は、受けていない人よりも平均値で7割も低下していました。
ワクチン接種2回目から6か月で中和抗体は低下していた。特に低下割合が強かったのは3群
- 男性
- 65歳以上の高齢者
- 免疫抑制状態にある人
注意:中和抗体低下=ワクチンの防御力低下ではありません
但し、予防接種をしたにもかかわらずコロナウイルス感染を起こした人々(つまりブレイクスルー感染した人達)の中和抗体は、低かったと報告されています。 (2021年10月14日発表)
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2109072
イスラエルのシェバメディカルセンター病院の医療従事者11453人の報告です。2回のワクチンを打ち終わって4か月間の調査です。この間に39人がブレイクスルー感染をしています。
全員がワクチン未接種者からの感染と考えられました。13人は無症候性でした。感染が判明した日に採血をして、39人の中和抗体を測定しています。
39人の中和抗体の量は、192.8(95%信頼区間[CI]、67.6〜549.8)でした。39人と同じ時期に接種した感染していない対照群で533.7(95%CI、408.1〜698.0)でした。
ブレイクスルー感染者のほうが中和抗体が低い傾向にあったわけです。
中和抗体が低下したらブースター接種をすれば良いと考えられそうだけど、確証は全くありません。
中和抗体が下がってきたら感染しやすいといえるのか?その可能性はあると思います。
ただし中和抗体が下がっても、重症化を防ぐ効果は持続しているという報告があります。(2021年10月6日発表)
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2114114
90万人がファイザーワクチン2回接種を終えているカタールからの報告です。
これによると、ワクチン投与最初の月で77.5%の感染予防効果を認めています。
その後は徐々に低下、4か月後には感染予防効果がガクッと1段低下します。投与後5から7ヶ月では20%まで低下していました。
一方重症化予防効果は投与後3週間目から上昇します。6ヶ月間後でも88.9%の重症化予防率をキープしていました 。
中和抗体は接種6か月後には下がる
↓その結果
- 感染予防効果下がる
- しかし、重症化防止は保たれたまま‼
このデータはオミクロン株に対してのイギリスからの12月31日のデータと類似しています。こちらの記事にオミクロン株についてまとめました。
中和抗体は、血液検査で測ることができます。
ヒトのSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク受容体結合ドメイン(RBD)に対する抗体の検査です。自由診療で5千円から8千円程度かかります。
結果の解釈は、自己判断となります。当院でも希望があれば6000円税込みで行っております。
ブレイクスルー感染者は、重症化しにくかった
先ほどのイスラエルのシェバメディカルセンター病院の39人のブレイクスルー感染でも、重症化し入院した人は0人と報告されています。
アメリカとイスラエルでは実際に3回目投与が行われていますが、結果はどうなんでしょうか?
イスラエル 2021年7月12日に3回目の接種を承認しています。8月の1か月間だけのデータですが、効果の報告があります。(2021年10月7日発表)
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2114255?query=featured_coronavirus
イスラエルの60歳以上のブースター接種者とそれ以外の集団の比較です。
2021年8月の1か月の間に、感染が確認された人は、ブースター接種なしの人では4439人、ブースター接種者の中では934人でした。感染の抑制がありそうです。
このうち重症になった人はブースター接種なしが294名、ブースター接種群で29名でした。
ブースター接種すると、感染率は11.3倍低く、重症化率は19.5倍低くなる。
第6波に備えて、患者さんも見ることになるし、3回目接種することに決~めた
でも2回目までと注射は、おんなじなのかな?ちょっと心配。
3回目接種時の副反応は、2回目と同じくらいの割合
アメリカのCDCが10月1日に発表しています。
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7039e4.htm
アメリカでのファイザーもしくはモデルナワクチンの3回目投与後の副作用は、2回目の投与後の副作用と同様でした。
2021年8月12日から9月19日までの間に3回の投与をおえた12591人のうち79.4%で局所反応が、74.1%で全身反応が起こりました。
やはり局所副反応や全身副反応共にワクチン接種の翌日に一番多くなっていました。 注射の痛みは71.0%、全身倦怠感は56.0%、頭痛は43.4%に認めています。
93.3%が軽度から中等度の副反応でした。
6308人のファイザーワクチン接種者に限って調べると、3回目投与後の方が局所反応はわずかに多かったです( 3回目74.1%、2回目71.7% )。全身反応は3回目投与の方が、わずかに減少することが示されています( 3回目69.2%、2回目71.7% )。
結論:厚労省も持っているデータは少ない。ブースター接種について個々の判断となる。
厚労省が会議で今回決定の判断材料とした資料になります。
第25回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会. 資料. 2. 2021(令和3)年10月28日
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000849024.pdf
読み解いてまとめると
8か月をめどにすることについては、各国が概ね2回目接種から結果的に8か月目で3回目を打っていたから。
なんとなく8か月なんですね。まあデータがないから仕方ないとは思うが、、、
2回目接種全員に3回目接種を決めた国はイスラエルのみで、日本は2国目。欧米各国は今のところ対象は、高齢者と医療従事者のみで、全員ではない。
日本のワクチン接種スピードが後半早まったから、決定が世界で2番目になっちゃったわけね。ワクチンも確保したし。
後で修正されるかもしれませんね。
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