今回の記事は立っているとフラフラする。動くとクラッとしてしまう。 クラッとめまいについてお伝えしていきます。
いつも原因が分からないクラッとする立ちくらみのようなめまいに悩んで、いざ病院に行こうと思っても、何科に行ったら良いのかわからない。自分のめまいの症状をうまく説明できる自信がないという悩みを持っていませんか?
この記事を読んでいただければ、あなたのめまいの原因がわかり、危険な病気ではない事がわかります。めまいがいつ起こりやすいか、起きた時の対処方法も理解できるでしょう。
そして最後まで記事を読んでいただければ、辛いめまいから解放され、「出かけた先でめまいが起こったらどうしよう」と不安な日々を過ごさなくてもよくなります。色んな所へ出掛けられて、楽しく充実した日々を過ごせるようになるはずです。ぜひ、最後までお読みください。
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クラッとめまいは脳の血流不足
Uさんからめまいのご相談をいただきました。原文のまま紹介します。
耳が塞がり、両耳低音域突発性難聴と言われました。不安になるとめまいがして立っていられなくなります。頭がクラクラしたり、頭を動かしたらフラフラして原因不明です。血圧が上が80下が40に下がるとクラックラです.めまいで救急搬送されていて怖くて引きこもりです。
外出先でめまいが起こると心配で、外に出られなくなっている様子がわかります。それがとても不安で、とてもお悩みのようです。Uさんの症状のポイントは、両耳がふさがる感じと、血圧が下がるとクラクラが強くなるということです。
結論から言うと、Uさんのめまいは起立性調節障害、またの名を起立性低血圧。いわゆる立ちくらみのめまいです。脳に血液が行かなくなりめまいが起こっています。
立ちくらみが立った時だけではなくて、ずっと長く続いている感じです。
長く続いているというのは、慢性的に脳にまわる血液が少なくなっているということです。血液が、生活に必要なギリギリなので、少しの動きで脳に血が足りなくなるのです。だから頭を動かしたときや、横を向いたときのほんの少しの動きでも、めまいがします。小さな動きでも、立ち上がった時の大きな動きの時のように、脳に血液が足りなくなり、クラッとするのです。
脳の血流が不足するとどうなるか
脳に血液が足りないと、頭が重くてなんかダルい、フワフワしていると感じる方が多くなります。生活をするにはギリギリの量ですから、倒れるようなことはありません。でも十分な血液量ではないので、頭の中がすっきりとしないわけです。
生活をしていて、あまりに脳の血液が減った時には、心臓があわてて血圧を上げ、頭に血を貯めておこうとします。そうすると脈が早くなります。だから、めまいでフラフラしている時に、胸がどきどきしたり・汗が出たり・気持ち悪くなることがあるのです。
意外に深刻な耳の血流不足
実は耳にも血液が十分まわっていません。そうすると低い音が聞こえにくくなり、両耳が詰まるという症状がでてきます。
聞こえの神経細胞は高い音から低い音までらせん階段のように並んでいます。低音担当の細胞はらせん階段の上にあります。そのため、脳への血液量が少ないと、階段の上まで血液が届かなくなります。その結果、低い音の細胞だけが働かなくなり、低い音が聞こえづらくなります。片耳だけでなく、両耳で起こるのが特徴です。
相談者のUさんは、両耳の低音域の突発性難聴と言われたそうです。この原因は突発性難聴でなく低血圧・脳への血流低下と考えられます。低音担当の神経細胞に血液が届かず、耳がふさがった感じがしていると推測します。
脳の血流不足の原因は自律神経の乱れ
どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。脳の血流がギリギリなのはなぜなのでしょうか。
一般的に立ちくらみは、重力のせいで起こります。立ち上がった時に、体の血液が、重力で下半身に落ちてくるために発症します。女性の場合は全身の血液量4リットルのうち、0.5リットルほどが下半身に移動します。そうすると頭に回るべき血液が少なくなります。頭に血液が行かなくなると、脳が酸素不足に陥ります。そのため頭がボーっとしたり、クラッとしたりするのです。
ただし、全員が立ちくらみをするわけではありません。
人間の立ちくらみ防止システムとは
実は人間には、立ち上がっても血圧が下がらないようなシステムがあります。立ち上がるとペットボトル1本から1本半の血液が下半身に移動します。こうなると心臓に戻る血液の量が減って、血圧が下がりかけます。でも下がりそうで、下がらない工夫が人間には備わっています。それは足の血管です。
足の血管が縮み上がり、血液が足に落ちてこないように食い止めるのです。心臓に血液をぐっと押し上げてくれるのです。水風船の下側を絞って、風船の上をふくらますようなものです。
立ちくらみ防止システムは自律神経が鍵
このシステムは自律神経が担っています。立ち上がって、頭の血が減ると、首にある血圧センサーが反応します。首が「血圧が下がってるから、脳に血が届かなくなる」と判断した瞬間に、自律神経の一つである交感神経が興奮し、足の血管を収縮させるのです。
でも自律神経が乱れると、この立ちくらみ防止システムが働かなくなります。血圧が下がっても、神経が足の血管を収縮できなくなるのです。ストレスや疲れ、不安などで自律神経のバランスが乱れている場合です。
血液が下半身に溜まったままになって、頭に回る血液の量が慢性的に少なくなってしまいます。横になっているときは水平なので、頭も足も同じ量の血液がめぐっています。でも起き上がった状態では、下半身にたくさんの血液が溜まってしまい、脳の血液が少なくなる、つまり起立性低血圧が起こります。たちくらみが長く続くのです。
クラッとめまいを起こしやすい人
このめまい「起立性低血圧」は、思春期に多く起こります。自律神経がまだ十分に発達していないからです。立っているときの血圧調節がうまくできないのです。思春期のめまいの原因の一位が、起立性低血圧です。子どもに多いめまいについては、また別の記事でお伝えします。
大人でめまいを起こしやすい人:女性の場合
大人でこのような状態、慢性的な脳の血流不足によるクラッとめまいを起こしやすい人は、どんな人でしょうか。
それは、若い女性です。10代から20代の女性の半分は上の血圧が100mmHg以下の低血圧です。元々の血圧が低い、つまり心臓のポンプの力が弱くて、頭に血を押し上げられず、脳の血液が少なくなりやすいのです。
痩せていると、体の中の血液の総量も少なくなります。体重に応じて血液の量が増えるのです。ただ脳の活動に必要な血液の量は、太っていても痩せていても同じです。太っている方は血液がたくさんあるので、立ち上がった時に脳に血液が足りなくならないのです。
それだけではありません。痩せているという事は、筋肉量が少ないということです。下半身の筋肉が少ないと、血管を絞り上げる筋力も弱くなります。血管が収縮できず、血液が下半身に落ちてきやすくなるのです。
大人でめまいを起こしやすい人:高齢者の場合
高齢の方でもこのような症状は起こります。水分や食事が十分に取れなくなったときです。夏場や風邪を引いて、脱水になると体の水分量が減ります。水分は血液の量にも比例するので、体の血液をふくめ水分の総量が減ってしまうのです。
つまり痩せた女性と同じ状態で、薬を飲みすぎているときもクラッとめまいが多くなります。血管拡張剤や利尿薬など、血圧を下げる薬が効きすぎている場合です。低血圧気味となり、若い女性とおなじようにクラッとめまいが、起こりやすくなります。
大人でめまいを起こしやすい人:男性の場合
男性でも慢性的な脳の血流不足は起こり得ます。これには、男女問わず、生活習慣や働き方が関係します。肩こりや首こりのある人と、立ち仕事をしている人です。このような方は、クラッとめまいを起こしやすいのです。
肩こりや首こりは筋肉がこわばって、血管を圧迫した状態です。この状態では血液の流れが悪くなっています。そのため後ろから脳にまわる血液が不足しがちに。実はバランスを司る小脳や耳は、首の後ろの血管から栄養が運ばれているのです。
なので首こりや肩こりがあると、特に急な頭の動きをしたときに、一瞬血液がまわらずに、クラッとめまいが起こります。すわっていても、後ろを振り向いたり、下を向いた状態から頭を上げたりした時にふわっとするのです。
働き方による身体・血流とめまいへの影響
働き方、つまりどんな仕事であるかも影響します。たとえば常に立ち仕事をしている人です。常に立ってると体の水分は足の方に溜まりやすくなります。仕事場での午前中の早い時間は問題ありません。まだそれほど足に血液が溜まっていません。
しかし、お昼近くや昼休み後の夕方になると、足先などがむくんできます。下半身に血液が多くなっている証拠です。こうなると、クラッとめまいが多くなります。脳に行くべき血液が足先に溜まってしまい、フラフラしてきます。なのでクラッとめまいは、夕方にかけて多くなります。
逆に仕事が休みで家でゴロゴロしているときは、あまりめまいが起こりません。立っている時間が短いため、頭の血液が少なくなりにくいからです。
それ以外では、長距離トラックの運転手さんのように、長い時間座っている人も同じような状態になります。同じ体勢であまり動かないからです。立ち上がったり、足を動かすことがないため、体の中で血液の大きな移動が起きないのです。
そのため、下半身に血液が溜まり、慢性的な脳の血液不足となっているのです。このような方は、同じ体勢でいますし、腕と手が前方に固定され続けているので、肩こりや首こりも強いと思います。なので、余計にクラッとめまいで悩まれる方も多くなります。
そうか私のクラッとめまいは立ち仕事が原因だったんだ、と気付いた方もいると思います。でも仕事は止められないし、簡単に変えることもできませんよね。では、どうすればよいのでしょうか。
クラッとめまい解消法は足に一工夫するだけ
実は、クラッとめまいを治すには、足にひと工夫するだけでよいのです。
座っている状態から、立ち上がったり起き上がったりする時は、急に動かず足を動かしてから立ち上がるようにしましょう。足に溜まっている血液を上半身に戻してから動くのです。
それでも立った時にクラッとしたら、足をクロスさせてふくらはぎを向う脛で圧迫してみてください。足の血管の収縮を、外から押して助けてあげるのです。股間からモモを内側に押し付けあってみてください。このようにして下半身に血液が落ちるのを妨ぎましょう。
長く立ち仕事をする人は、着圧ソックスといわれる締め付ける靴下や足のむくみ防止靴下を履くようにしましょう。普段から下半身に、血液が落ちてこないように外から足を絞ります。
立ち仕事や長時間座っている方は、積極的に、隙間時間に屈伸運動をしましょう。時間をみつけて、足を振ったりして、特にスネの筋肉を動かすようにすると良いです。そうすることで足の血管を絞る筋肉がリフレッシュします。
普段から足に出来ることは、特にふくらはぎや足の筋肉をつけることです。筋肉をつけることで、血管を縮め上げる筋肉もつきます。そうすることで、心臓に血液を押し戻す力も上がります。スクワットなどの運動を定期的にしてください。
そして毎日、昼休みの時間は積極的に横になって、心臓より高い位置に足を上げて休みましょう。午前中に下半身にいってしまった血液を心臓から上に戻してあげるのです。
その他の解消法①:水分補給
足以外の工夫は、体の血液の量を増やすことです。血液の量や体液の量がふえれば、頭の血液量も増えます。そのために水分を多く取りましょう。心臓や腎臓に問題がなければ1.5〜2リットルの水を飲むようにしましょう。1度にたくさん飲むのではなく、1時間ごとにコップ一杯を目安にしてください。
また1度にたくさんの食事をするのはやめましょう。たくさん食べると、消化をする為に胃に血液が集まります。血液が下半身だけではなく胃に取られて、頭に行く血液の量が減ります。そのため食後にクラッとする回数が増えてしまうからです。
その他の解消法②:ストレッチやマッサージ
肩こり・首こりの解消にはストレッチやマッサージを行いましょう。デスクワークなどで肩や首に力が入り続けることもよくありません。同じ体勢を長く続けず、用もないのにトイレなどに移動して、ときどき伸びをするようにしましょう。このとき先ほどお伝えした下半身の運動も加えてみてください。
【まとめ】これでクラッとめまいも怖くない!
クラッとめまいは、下半身に血液が落ちてきた結果、脳の血流不足により起こります。頭が重い感じや両耳の詰まりが出る場合があります。
ストレスや不安、疲れにより自律神経が乱れて、重力に逆らって、血液を心臓に押し上げるシステムが働かなくなってフラフラするというものです。
めまいしやすい人やめまいの原因
痩せている人・血圧の低い人、特に女性に多くみられます。脱水や低栄養の高齢者でもおこります。
長時間立ち仕事をしている人、動かずにじっと座って仕事をしている人に起こりやすいです。肩こりや首こりも原因となります。
めまいの解消法
足に一工夫をして、積極的に足を動かし、心臓より足を上げるようにしましょう。水分を多く取ることやストレッチなどの運動もめまいの予防になります。
めまいの悩みは早めのチェックを
めまいで何もできない状態になって辛い。でも検査をしても異常がない。このような方は、仕事をふくめ、普段の生活で下半身に血液が回っていることが多くないか、確認してみましょう。
あてはまるようでしたら、記事で紹介した解消方法を試してみてください。そうすれば少しずつめまいが減っていくはずです。そして自信をもって出来ることが少しずつ増えていきます。記事を読んでくれたあなたが、必ず元の生活に戻れると信じています。
この記事の反響が多ければ、クラッとめまいに効く市販薬の記事も作成したいと思っています。よろしければ記事へのコメントも残していってください。また忘れずにブックマークもお願いいたします。それではまた!
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